初詣の後に二人で境内の食堂に入った。
テレホン・カードを使って食堂の公衆電話から真帆がお母さんに電話した。
「遅くなるからお母さん帰っていいよ。おせちありがとう。」
「いや、こちらこそいいんだよ。あんな高い百貨店のおせちはみんな真帆の稼ぎのおかげなんだよ。TAKAちゃんと仲良く暮らすんだよ。」
「うん、うん。ありがとう。またね。」
冬の陽が早く落ちた。
帰り道の白い砂利を落ち着きなく真帆が蹴った。
「今月の末くらいにねKENちゃんの子供が産まれるらしい。」
「そう・・。」
この時真帆は深い嫉妬を感じた。
自分と結婚したり
自分の子供を産んだりする人とはとても思えない・・・・・という言い草で
KENちゃんに振られたのは2年前だった。
それは今思うと何だかまっとうな論理の様な気がした。
現実が深く突き刺さった。
奥さんに負けたんだ。
しかも自分はKENちゃんにとっては愛人以下なんだ。
これから結婚するにしても
年内に結婚するにしても
もうKENちゃんの事は忘れたい。
この敗北感って何なの・・?
一番好きな人と結婚できないって
こういうことかな・・・。