「人類は、皆兄弟だ」といって、
コマーシャルを展開して
目をみはらしたのは、
日本船舶振興会の会長
笹川良一氏だったが、

成る程と、識者は
そう納得して、
やっているバックが、
バクチの頭目で、
いかがわしいなどと、やっかんだり

それにしては、
聞き捨てならないと
思ったりしたものだが、

本当に人類は、皆兄弟に
なれるのか。

真剣に考えていくと
とても重い課題である。

仲良くするのさえ、
ままならない世の中なのに、
それを兄弟のように
なれというのである。

人は、つきあう時、
つきあってからも、自然に
自然体ができて、
お互いに、距離をおいて
つきあう。

それが、兄弟のようになれ、
いや、兄弟なのだとまで、
言っているのである。

兄弟だと、
まあいいか、などと、
甘えの部分もあって、
血は、口ほど以上にものを言う。

それが他人様だと、
つきあいの始めは、
そのポジションであったり、
思考であったり、
誰が誰でもいいというのではない。

そして、ひとたび何かあると、
離合集散してしまうのである。

ところが、肉親となると
そうはいかない。
ルーツが同じなのであるから、

離れているようでも、
離れられない。
離れていても、離れられない
不思議な力がある。

これほどまでに、縁故を
大切にしていくのが、世のならいでは
あるが、

どうやって、同民族で、兄弟になり
異民族で兄弟になれるのか。

それは、ひとつの理想ではあるが、
このチマチマした今の世の中で、
総理大臣以下、それを実践しているひとは
少ないように見える。

もし、そんな大きな視野があって
理想があって、
世界が平和なら
今の世の中の混乱は
必ず起きてはいないだろう。

苦言を呈したくないが、
これが、今なのだから、しょうがない。

一部の優秀なひとを
あたりまえの見本にできない世の中に
なってしまった。

だから、ぼやいているのである。