近所に住む友達がミニミルを片手に立ち寄った。
彼女は代々木のドイツ語教室で長いこと一緒に学んだクラスメートで
共にドイツ初旅行を敢行した相棒で
ちょうど彼女が子どもを産んだ頃に私が横浜に越してきて、
偶然にも徒歩10分圏というご近所さんになり
互いの家を行き来し、
私は彼女の娘をとってもかわいがっていたのだけれど
福島原発事故の後
がれきを受け入れた東京都の線量がどんどん上がり、
神奈川もがれき受け入れを表明して彼女の悩みは深くなり、
とうとう夫君に転職を促して
めでたく実家のある福岡に仕事場を見つけ、
それで来週にも越して行くのだった。
先日のお別れランチの際、ミルの無い我が家は新鮮なコーヒーが味わえないと言うと、
彼女の夫君が大小二つのミルを持っているから要るかという話になり、
荷づくりの傍ら彼女はそれを届けに来た。
買い物があるというので玄関で少し立ち話をして
ミルのお礼のお菓子と、
福島の子どもたちのための保養所設置プロジェクト募金依頼の挟まった雑誌を渡し、
転居通知を出すし年賀状も出すからこれからもよろしくと彼女は挨拶し、
こっちに来ることがあったら是非顔を出してくれと私は頼んで、
エレベーター乗り場まで見送った。
それから
防音室に戻って弾きかけのピアノを続け、
ショパンのコンツェルトを弾きながら
ああまた友達が去ったのだと徐々に悟り、
泣きたくなりながら弾いて
少し泣いてまた弾いた。