司会(事務局):自転車事故ドットコム事務局です。このたび、所属の弁護士に、自転車事故の最近の傾向について、議論してもらいました。議題としては、①自転車の法規制の変更、②自転車事故の特殊性、③自転車事故による賠償の傾向について追っていきたいと思います。。
司会:数度にわたり、改正が行われたようですが、具体的には簡単にいうとどのように変わったのでしょうか。我々が聞いているのは、自転車は車道を走らなければならないという規制が徹底されるようになったくらいのことですが。
本田(鳥飼総合法律事務所弁護士):そうですね。自動車、歩行者、車両の通行方法を定めた法律は、道路交通法でして、自転車のことも道路交通法に規定されています。道路交通法によると、自転車は「軽車両」に分類され、「車両」ですから、車道を走ることになっています。この原則は特に変わっていません。
司会:では、どこが改正されたのでしょうか。本田先生いかがでしょうか。
本田:道路交通法には歴史があって、施行されたのは昭和35年です。それまでは、道路交通取締法という法律がありましたが、モータリゼーションの進化とともに、大きく改正されたのです。自転車の扱いは、ずっと、「軽車両」で変わっていませんが、昭和45年までは、自転車は車道を走行することが例外なく義務付けられていました。しかし、自動車の数の増加により、対自動車での事故が激増し、社会問題化したのです。そこで、昭和45年に自転車が車道を走ることの原則は維持しつつも、例外的に路側帯を走行ができるようにしました。実質的には、自転車は、路側帯又は歩道を走らせるという政策転換をし、自動車と自転車の事故を減らそうとしたのです。その政策のため、その後の道路設計も自転車が車道を走るという原則と、例外が逆転したようなインフラ整備が行われました。みなさんもご存じのとおり、車道には、自転車道はほとんど整備されず、車道と歩道の間の緩衝地帯は、駐車車両対策として狭められ、その代り歩道を拡幅するような構造になりました。
[自転車道は整備が遅れており、平成23年の時点では81㎞しかないという。]
司会:確かに、車道を自転車で走っていると、路側帯の狭さと歩道との隔絶、駐車車両による進路変更時の危険などを感じますね。
本田:そうです。最近平成19年の法改正から自転車が歩道を走ることができる場合を厳格化し、改めて自転車を車道に戻すという政策転換が行われるようになりました。しかし、インフラとしての道路の構造は自転車が走るのに配慮したかたちにはなっていないですね。
