この頃よく目にする、
「愛され妻」という言葉。
初めは苦手だと感じた。
英語でもbeloved wife
という言葉があり、
女性が亡くなると
お墓に刻んだりするらしい。
それを知ったのは何年も前。
江國香織さんの小説だったと思う。
私はもう結婚していたけれど、
ひっかかる感じがした。
お墓に「愛された妻」なんて、
なんか嫌だな。
付属物のような、
自分というものがないような印象だった。
でも、大好きな江國香織さんだから
このちょっと嫌な気持ちも、
何かの種のような気もしていた。
江國香織さんの文章からは、
ただ心地よいだけではない
ヒントをいただくことがあるから。
そのまま何年も経ち、
「愛され妻」という新しい言葉を知り、
放っておいた種のことを考えてみる。
「ビラヴドワイフ」
あのとき嫌だったのは
私には無理、
と思っていたからかな?
付属物みたい、と反発心がわいたのは、
ただの屁理屈で、
手が届きそうもないものへの
嫉妬だったのかな?
あの頃は夫に文句を言わず、
ノートに書いていた。
日記のつもりが文句になってた。
何冊分も。
こわーい。
うまくいくわけない。
ずっとこのまま
我慢が続くと思ってたな。
文句を書くのはとっくに辞めた。
ノートも捨てた。
今は夫に直接なんでも言える。
それなのに、
「愛され妻」がどうして嫌だったのか?
心に浮かぶことを感じてみた。
新しい言葉だから、
「正しい日本語じゃない」と文句をつけたい?
いやいや、ちがう。
他の言葉なら平気。
美味しいものを「ヤバイ」と言う人がいても
大丈夫。
やっぱり
「愛され妻」が
羨ましいだけだー。
単純な理由だった。
夫に文句が言えるようにはなった。
でも、まだ全然
「愛され妻」じゃないと思ってる。
甘えるのってハードル高い。
夫は「愛され夫」だと思う。
ずるいな、と思う。
今もついつい甘くしてしまう。
マッサージとかお弁当作りとか、
つい無理してでも、やってしまう。
で、疲れて怒るパターン。
夫に前よりはだいぶ頼っている。
でも、
これぐらいならいいかなっていう頼み方。
できる範囲で冒険しないから、
いつまでもぱっとしないんだな。
でも、そんな自分もオッケー。
冒険できない自分にダメ出ししない。
ちょこっとずつ夫に頼み事をしてみる。
夫に頼めない分は、
ひとりの時に息抜きをしよう。
息抜きする時間やお金も
夫からもらってるものだ。
ありがたい。
私が夫に甘えられないタイプで、
夫は甘えるタイプだから、
これはこれでうまくいってるとしよう。
それから、
「決めるだけ」をやってみようと思う。
私は「愛され妻」と決めるだけ。
今はビラヴドワイフとお墓に刻むことも、
誇り高いことのように感じる。
思いつくことは叶うこと。
楽しみにしていよう。



