★★★★

 

「時間薬」「日にち薬」「時薬」
いずれも時間が癒しの象徴であることを示す言葉だ。

けれど本書の『はじめに』にある「悲しみは時が癒してくれる、というのは嘘である。これは愛するひとを喪って初めて突きつけられる真実の一つだ」という一文に触れたとき深く共感した。

本作には、吉行和子、阿川佐和子、小池真理子(敬称略)らが綴った家族との最期の日々が収められている。

読み進めるほどに喪失の重さが胸を締めつける。

父を見送って十八年。
時は流れても喪失感は薄れず静かにそこにある。

先に逝った人たちの顔を思い浮かべ忘れまいと胸に刻んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★

 

2024年が舞台でありながら、昭和の2時間ドラマを思わせる空気が漂う。

主人公は、実母を守る為に罪を犯し、12年の実刑を終えて出所した32歳の山井章吾。
社会に戻った彼は、弁当屋で働く27歳の巴実日子と出会い、互いの孤独を埋めるように惹かれていく。

しかし実日子もまた、過去に深い傷を抱えていた。

二人がようやく手にした穏やかな日常は、ある男性の出現によって再び揺らぎ始める。

リーダビリティが高く一気に読めるが、展開の予測しやすさと言葉遣いの古めかしさが残念。

恋愛要素を織り交ぜたライトなミステリーとして楽しめる作品。

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★

 

駄目だ。
中盤から涙が溢れ、ラストまで止まらなかった。

予備知識のないまま手にしたので、途中で2000年3月8日に発生した地下鉄脱線事故の実話に基づく物語と知り涙腺崩壊。

なぜ、どうして…の言葉しか出てこないくらい辛くて切なくて悲しかった。

24年前、電車内で痴漢から助けてくれた信介に秘かな恋心を抱いていたナズナ。
信介もナズナに好意を寄せていたが、二人に突然悲劇が訪れる。

20年もの時を経た奇跡のような出来事に、ようやく気持ちが救われた。

それでも願わずにはいられない。

こんな悲劇がどうか二度と繰り返されませんように。