★★★★

 

『死んだら永遠に休めます』で衝撃を受けた遠坂八重さんの新作もひりつく緊張感に満ちていた。

発端は六年前の交通事故。
七歳の少女が車に轢かれて亡くなり、一人の男性も帰らぬ人となる。

その出来事に関わった人々の過去と現在が交錯し、真実が明るみになるたび胸が締め付けられた。

罪のない人が不幸に巻き込まれていく物語は本当に悲しい。

一方で、自己保身に走り嘘を重ねる彼女のことだけは、最後まで許せなかった。

一瞬の悪意が、罪のない多くの人を不幸にする。
どれほど後悔しても取り返しのつかない現実があることを突きつけられる作品だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★

 

「彼の空のユンカース」「ベッドひとつぶんの私たち」二話収録。

事前情報を全く入れずに読み始めたので、読了後は胸にズシンと響くものがあった。

発端は、亡くなった曾祖母の鏡台に隠されていた一通の手紙と歌集。
高校生の雅美は、友人の凛とともに曾祖母の歌集の秘密を探り始める。

作中に登場する五・七・五・七・七の短歌の調べが少しずつ不穏さを帯びていき、物語の核心に触れた瞬間、一気に哀しみが押し寄せた。
最後に読む「あとがき」で、その哀しみは更に深まる。

二つ目の物語もとても良い。
今、生きていることの奇跡に改めて感謝したくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★

 

肩の力を抜いて楽しめる小野寺劇場。

本作は、惚れっぽくて貢ぎ体質の加茂洋(35歳)と、偏差値高めのエリート銀行員の央(29歳)の姉弟物語。
1月から12月までの1年間が姉と弟の視点で交互に描かれる。

この姉がまた強烈。
私も疑い深いわりには騙されやすいが、洋のそれは桁違い。

ミュージシャンもどき、役者もどきに貢ぎ倒した挙げ句、さらに詐欺被害まで…。

そんな姉に呆れつつも寄り添う央の優しさが微笑ましい。
と思いきや…央、おまえもかい! 

ジャンルは恋愛小説だが、実質はほぼコメディ。
なんも考えず、ただただ笑わせて貰いました〇