ルースベネディクトが菊と刀の執筆を開始したのは1945年だが、約80年後の現代においても当てはまるところが多いと再認識した。

昔から人々に刷り込まれてきた意識は容易には変わらないのだ。


それにしても「因習に縛られた家」という言葉に、おどろおどろしさを感じる。

長男は家督を継ぐ立場にある。

外国人旅行者の間では、「日本で長男が早くから身に付ける責任感ある態度」が話題になる。

父親が特別扱いされるのに準じて、長男も特別扱いされる。昔なら、次男以下はやがて長男の厄介になることを避けられなかった。



現在でも、特に都市部以外では、因習に縛られた家に残るのは長男である。


一方、弟たちは外に出て、長兄以上の教育と高収入を得ることもあろう。


「菊と刀  p93  ルースベネディクト/訳 角田安正 光文社古典新訳文庫」