次女がスーパーでの盗みで警察に通報された、数年前。

次の学年を目の前にした年度末、私のメンタルはめちゃくちゃでした。


しかし、それだけでは終わらなかったのです。

外でのトラブルと完全に連動するように、家の中でも、ある決定的な事件が起きていたのです。

それは、家のお金が、確実に消えているという事実。

キッチンのコインケースから消えるお金。
我が家では、キッチンの片隅に小銭入れを置いていました。
よく100円ショップで見かけるような、10円、50円、100円、500円と種類ごとに分けて収納できるプラスチックのケースです。

最初は自分の記憶違いだと思おうとしましたが、あきらかに減っている。
それも、一度や二度ではないのです。

我が子を疑いたくないけど、その可能性はある。
実際に外では盗みをしている。

気のせいであって欲しいと願いながらも、私は無視できない異変を感じ、ある行動に出ました。

残っている小銭の状態を、そのまま自分のスマホで写真に撮って残すことにしたのです。

「前回の写真」と「今の状態」を見比べれば、一目瞭然であり、証拠を与えれば本人も認めないわけにもいかないでしょう。
確実な証拠を掴むための、親としての行動でした。

そしてある日、言い逃れのできない変化を確認した私は、意を決して次女を問い詰めました。
手元にあるスマホの画面に写る、減る前の小銭の写真を突きつけたのです。

次女は、家のお金を盗んでいたことを認めました。

500円玉…一枚なのに、100円玉5枚分で夢のようなコイン。


次女の盗み方には特徴がありました。
50円玉以上の、子供にとっては少し高額な小銭をとことん狙っていたのです。
特に500円玉は、彼女にとって夢の小銭のようだったらしく、見つければ吸い寄せられるように盗んでいました。

親のお金を盗んでまで、一体何に使っていたのか…

白状した使い道は、呆れるほどに子どもの浅はかさでした。

 

近所のコンビニの前に置いてある、

 

「当たればポケモンカードがもらえる!」

 

と書かれた、大人から見れば当たるわけもない怪しげなガチャガチャ。
次女は、盗んだ夢の500円玉をその機械に次々と吸い込ませていたのです。

我が子が盗みを働いていたショック。


そしてそのお金が、何の価値もないガチャガチャに消えていた虚しさ。

しかし、本当の絶望はここからでした。

忠告していたはずの長女まで、盗んでいたのです。


実は、次女の様子がおかしいと気づいた段階で、私は長女にも忠告をしていました。

 

「T(次女)が怪しいから、あなたも自分の貯金箱からお金を取られないように気をつけなさいよ」

 

まさか、その長女までもが、次女と一緒になって家のお金を盗んでいたとは夢にも思いませんでした。

振り返れば、思い当たる節はいくつもあったのです。

その頃、長女が「友達と買い物に行ってくる」「一人で買い物してくる」と、頻繁に出かける時期がありました。当時、まだ小学生です。
行き先は、すぐ近くの最寄駅。
高学年にもなれば行動範囲が広がるのは自然なことかもしれない、そう自分を納得させていました。

でも、どうしてもおかしいと思った日がありました。

出かける前日、長女の財布を覗いたときには、中には小銭しか入っていませんでした。
「明日買い物に行く」と本人が言っていた、その数時間後のことです。

「お財布に1000円札が入ってた!」

と、長女が嬉しそうに言ってきたのです。

我が家のお小遣いは、お手伝いをした分だけ渡す歩合制。
子どもが何もしなくても定額がもらえるわけではないので、お小遣いお札に届くことなんて滅多にありません。必死に頑張らないと、お札でのお小遣いはなかなかもらえません。
(映画とか、その後フードコートでお昼を食べるとか、そういう時は別にお金を渡してました)

ついさっきまで小銭しかなかった財布に、突然1000円札が現れるはずがないのです。

「このお金、どうしたの?」
「……知らない」
「本当にお母さん知らないよ? どこから出てきたの?」
「……知らない」
どれだけ聞いても、長女はただ「知らない」の一点張り。

家の中で起きていた、娘たち二人によるお金の窃盗。

「母親としての育て方が悪いのか」「私の何がいけなかったのか」と、自分を責めて追い詰められ、頭がおかしくなりそうな日々でした。