2か月後。

来週末に
婚約するという亮太は
今週末も
きょうこの部屋にいて、
出された夕食を
『うまい、うまい』と言って食べている。

冷蔵庫から
いつものように
2本目の冷えた缶ビールを取りだす。


『しかし。。
 たまにしか料理を
 食べられなくなると思うと
 残念だな。
 そう思うと、惜しいよなあ。。。』

『は?今さら何言ってんの』
きょうこはムッとした。


グラスに半分までビールを注いで
亮太は缶をテーブルに置く。

『いや、まじで。
 今さら、だな。
 …ごめんな』

深々と頭を下げる亮太。

『え…亮ちゃん』

『婚約だ、結婚だって具体的になってくるとね。やっぱり違うだろ、、って思うことが出てくるんだ。きょうこだったら、こんなこと言わないだろうな、とかさ。。そんなこと、いちいち相談してこなくても勝手に話進めてくれていいのにな、と思ったりさ。きょうこだったら、事後報告で済んだことでも、いちいちさ。。。』


『あーなるほどね。
 でも、そういうのが
 当たり前じゃないの?
 彼女、年下なんだし、
 亮ちゃんが引っ張っていかないと』

『そんなものなのかな。。
 そんな面倒なものなのかな。。。
 やっぱり、ここにいるのが一番楽だな(笑)
 しょっちゅう、帰ってくるかもな、俺』


欲しい言葉を欲しいときに与えてくるのが、
亮太の得意技。

『しょっちゅう来るんだったら、
 私は婚活をしている暇もないね』

『もちろん、婚活は遠慮なくしろよ。
 相手は身近にいるんだからさ。
 ガッチリ押さえろ(笑)』



『…わかった。亮ちゃん。  
 キッチリ仕留めるよ』



(何かが吹っ切れた。
都合のいい女も、今日まで。
亮ちゃん、君が言ったんだからね。。
相手は身近にいる。
きっちり仕留める。。。

私が仕留めるのは、お前だよ、亮太!)