2年前のこと。
少し肌寒くなった午後。
店が休みだったキョーコは
息子のトオルと2人で
東京湾の
少し肌寒くなった午後。
店が休みだったキョーコは
息子のトオルと2人で
東京湾の
とある埠頭に遊びに来ていた。
トオルは
貨物船がコンテナを積み下ろしするのを見るのが好きで、
もうひとつ
自分のルーツである国の船員に話しかけるのを楽しみにしている。
今日も何人か
顔見知りになった外国人の船員たちと
簡単な言葉を交わしていた。
トオルは母の使う関西弁も
会話の中に取り入れて話すため、
船員たちに可愛がられていた。
太陽も落ちかけ
2人は
歩いている途中
キョーコは自分の左の耳たぶから
ピアスがなくなっているのに気づく。
「 たいへん! ママのピアスが無い! 」
慌てる母・キョーコに
「 僕がおおきくなったら
買ってあげるから
と
「 ありがとう。
でもね、でもね・・!
これは
ママがトオルのパパから
埠頭に戻って、2人で
一粒の小さなパールのピアスを
無心で探した。
どれぐらい時間が経ったのか、
辺りは真っ暗で・・
(もう無理かも)
諦めかけたとき
外灯で
トオルは
トオルに連れてこられた暗闇で
大きな塊を見つけた。
その塊はわずかに動いていた。
「 生きてる!
男に声をかけ続けながら
トオルは
貨物船がコンテナを積み下ろしするのを見るのが好きで、
もうひとつ
自分のルーツである国の船員に話しかけるのを楽しみにしている。
今日も何人か
顔見知りになった外国人の船員たちと
簡単な言葉を交わしていた。
トオルは母の使う関西弁も
会話の中に取り入れて話すため、
船員たちに可愛がられていた。
太陽も落ちかけ
2人は
帰宅するために
最寄りの駅に向かう。
歩いている途中
キョーコは自分の左の耳たぶから
ピアスがなくなっているのに気づく。
「 たいへん! ママのピアスが無い! 」
慌てる母・キョーコに
「 僕がおおきくなったら
買ってあげるから
もう暗いし、おうち帰ろう 」
と
トオルは母親をなだめた。
「 ありがとう。
でもね、でもね・・!
これは
ママがトオルのパパから
もらった大事なものなのっ! 」
「 そっか‥
「 そっか‥
ママの大切はものは
ボクにも大切なものだよね 」
2人は手を繋いで
2人は手を繋いで
さっき来た道を引き返した。
埠頭に戻って、2人で
一粒の小さなパールのピアスを
無心で探した。
どれぐらい時間が経ったのか、
辺りは真っ暗で・・
(もう無理かも)
諦めかけたとき
外灯で
ぼんやり光るものをみつけた。
「 あった~~!
「 あった~~!
トオルっ 見つけたよ~!
・・トオル? 」
キョーコは
探しものに夢中になっていて
トオルのことは
・・トオル? 」
キョーコは
探しものに夢中になっていて
トオルのことは
すっかり忘れていた。
血の気がさっと引く。
そのとき
パタパタと小さな足音が近づいてきた。
「 ごめん!
血の気がさっと引く。
そのとき
パタパタと小さな足音が近づいてきた。
「 ごめん!
ママね。
夢中になって
トオルのこと
ほったらかしてた。
ほったらかしてた。
無事で良かったわ 」
トオルは
その言葉には反応せず
「 ママ! たいへんだよ!
「 ママ! たいへんだよ!
ひとが しんでる!
血が いっぱい出てる! 」
トオルはキョーコの手を
血が いっぱい出てる! 」
トオルはキョーコの手を
力いっぱい引っ張った。
トオルに連れてこられた暗闇で
大きな塊を見つけた。
その塊はわずかに動いていた。
「 生きてる!
助けなきゃ・・」
キョーコは瀕死の男に駆け寄り
声をかける。
「 聴こえますか? 」
男は弱く
キョーコは瀕死の男に駆け寄り
声をかける。
「 聴こえますか? 」
男は弱く
息をしている。
男の腹部から濃い色の血が沸き出ているように見える。
「 刺されたの?撃たれたの? 」
「 これ、警察に言っちゃ、ダメな感じ? 」
男はかすかにうなづいた。
「 じゃあ、救急車もダメね?? 」
トオルは
キョーコの背中ごしに男を
のぞきこみながら
「 ブラックジャックに お願いする? 」
と
男の腹部から濃い色の血が沸き出ているように見える。
「 刺されたの?撃たれたの? 」
「 これ、警察に言っちゃ、ダメな感じ? 」
男はかすかにうなづいた。
「 じゃあ、救急車もダメね?? 」
トオルは
キョーコの背中ごしに男を
のぞきこみながら
「 ブラックジャックに お願いする? 」
と
キョーコに話かけた。
「 そうね。 そうするしかないわ。
「 そうね。 そうするしかないわ。
とにかく助けなきゃ 」
男に声をかけ続けながら
腹部の傷を
タオルで止血する。
タオルで止血する。
やがて
黒のワゴンが到着した。
出てきた二人の男が
無言で彼をワゴンに載せる。
キョーコとトオルも
続いて乗りこんだ。
出てきた二人の男が
無言で彼をワゴンに載せる。
キョーコとトオルも
続いて乗りこんだ。