MA室とは音の最終調整をする場所です。
今回たずねた「青春リアル」のナレーション収録現場では音響技術が3人、ディレクター2人、チーフプロデューサー1人、ナレーターの声優が1人の計7人でやっていました。    

 私たちがMA室に入った時にはリハーサルの最中でした。まず入って気になったことは機械などの設備はもちろんですが、辞書が置いてあったことです。ナレーションを録音する際に言葉の読み方やアクセントでわからないことがあると辞書を引き、それでもわからない場合はアナウンスルームに確認の電話を入れており、番組を完璧にしようとするプロの意識をかいま見ることができました。

 またディレクターが台本を見ながらボタンを押すと音響の機械と、声優がナレーションを読む別室の部屋のランプが点灯し、それを合図に声優は読み始めますがここにも細心の注意を払っています。映像とナレーションを合わせてみてタイミングは良いか確認し、“間”やナレーションの“表現”が適切か慎重に検討します


台本は1行=15文字で作られていて、15文字を声に出すとおよそ“3秒”という計算から、「このシーンにはどれだけのコメントが入れられるか」、事前に考え、準備も十分しているにもかかわらず、このような確認を行っているプロの仕事に対して完璧を目指す姿勢に驚くばかり。

 今まで説明したのはディレクターの仕事であるが音響、SEの仕事もプロのすごさが感じらました。音のバランスや音色やエフェクトを映像に合ったものを使い番組の雰囲気に合った演出をしており、また空調などの雑音などが入った場合は雑音を消したり、消すのが困難な場合は敢えて雑音の前後のシーンに同じ雑音を入れて、不自然にならないように編集されてました。

 現場の雰囲気は各人、自分の仕事を真剣にこなしていますが、チームワークも大事にしている様子が伝わってきました。不自然な箇所が合った時、どうするかなど話し合って決めていたのは今でも印象に残っており、全員が「青春リアル」をいい番組にしようと一致団結していました。「青春リアル」という番組はとても大切に作られており、現場の思いが詰め込まれていると感じ、みなさんにも是非「青春リアル」を見てもらいたいと思いました。


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 「この番組は、毎回実験だ」こう言うのは、青春リアルチーフプロデューサーの嘉悦 登氏。

嘉悦氏は以前、「真剣10代しゃべり場」という番組のディレクターであり、「若者同士のやりとり+ドキュメント性を持った番組をもう一度作
りたい」という思いがあったといいます。「若者のコミュニケーションは我々とは全然違う。携帯が鳴るということは我々は『仕事=いやなこと』ととらえてしまう。しかし、若者はコミュニケーションの一種ととらえている」嘉悦氏は、大人世代と若者世代との携帯電話の見方の違いについてこのように分析されてました。
そんな若者の必須のコミュニケーションツールとして利用されている携帯、メールを番組で使うことに関心を抱いていると言います。「言葉に出して言うのは言いづらいけど、メールなら言えることも若者ではあるんでしょ?」(嘉悦氏)。

 嘉悦氏はこの番組を通じて、若者に対して共感を持ってほしいと願ってます。
「この番組はディレクター自らが若者に密着するという、とても労力をさいた番組となっている。そこまでして番組を作る意味があるのか、一度みてもらって、面白いか、面白くないかを素直に判断してもらいたい。若い人たちの人生のために番組は何ができるのかを問うていきたい」と嘉悦氏は思っているそうです。

若者の共感を得るために、試行錯誤を重ねているという、「実験」の意味がここに込められていると感じました。

文責:岡本将太/永野雅彦