7月13日(土) 国立能楽堂
解説 「敗者が語る勝者の栄光」 表きよし(国士舘大学教授)
狂言『飛越』 (大蔵流 茂山忠三郎家)
シテ(新発意)茂山千三郎 アド(何某)茂山忠三郎
(休憩)
能『鵺』 (金春流)
シテ(舟人 鵺)髙橋忍 ワキ(旅僧)舘田善博 アイ(所ノ者)善竹大二郎
笛:栗林祐輔 小鼓:森澤勇司 大鼓:河村大 太鼓:井上敬介
表:前シテ「怪士」 後シテ「小飛出」
梅雨なのに暑い晴れ曇り。
駅まで15分くらい歩いて行ったら、財布やらSuicaやらスマホやらを忘れたことに気付く。今日は、いつもとは違うカバンにしたんだ。
がっくりしてイライラするところ、案外精神的には安定。
そうか、仕方ないねえ。という感じ。いつもより駅往復で歩数が稼げたから良いじゃん、という気持ち。
こういうのを、没我とか無とか、言うんです。良き方向にだけ考えた方が気分が良い。
あるがままに。
解説は、題名が付いているけど、能『鵺』の解説。既に解っていることだけ。表さんの解説は嫌いではない。
狂言『飛越』、2回目かな。
謎のお狂言。
要するに、新発意と何某、知り合いらしいのだが、様々な局面で、自分が勝ちたい、負けたくない。
河を飛び越えられるかどうか、相撲で勝てるかどうか。勝った方は誇り、負けた方を馬鹿にする。
友達なのにね。謎、変。
千三郎さんは、たしか千五郎家から独立した方。忠三郎家と一緒にやってるんだろうか。能では善竹さんも出演していたし、特別のグループという訳ではないような。
能『鵺』、金春流では初めて。
源頼政の、鵺退治の話。殺された側の鵺が、うつぼ舟に乗せられて流されていく。最後まで成仏は出来ない。鵺が主人公。
鵺って、トラツヅミのことか。夜中に、「ホー、ホー」と鳴く。確かに気持ち悪い。
森村誠一だっけ、「鵺の鳴く夜はおそろしい」とか言う小説があった。
開始からしばらくは、ワキの謡などだから、金春の節は出ない。
シテ謡と地謡が始まると、やはりあの金春の節。
慣れなきゃと思うのだけど、慣れれば心地良いのだろうけど、どうしても、観世流梅若の華やかな謡い節が身についてしまって、締まらない。
金春流は、華やかさよりは、優雅さかな。
シテの髙橋忍さん。1961年生まれ。まだ若いから、謡や舞、仕方もきっかり。
後シテの、金箔の装束の美しいこと。
お能の楽しみ方が変わってきたようだ。
最初からのブログを見て頂ければ解るけど、初めは、とにかく頑張って観ていた感じ。
何か失敗があると指摘したくなるし、お能の曲の意味を調べてみたり。
この頃は、殆ど知った曲が多くなってきたことと、詞章が聞き取れるようになってきたこと、お稽古で能の難しさも解ってきたことなどから、能楽鑑賞を楽しむことが出来るようになったのか。
帰りに隣駅のスーパーで、米を買う2㎏。
更に、破けてしまった夏用シーツやタオルケット。
こういう買い物が多いから、リュックサックを担いで出かけて、冒頭のような事態に至ったのだ。
いつものように、回転しない回転寿司屋。
飲む量も食べる量も半減してしまって、がしかし満足の量だから良いんです。これが、今の、71歳の自分。