6月15日(日) 梅若能楽学院会館
ショートレクチャー 山中迓晶
仕舞 『蟬丸』道行 鈴木矜子
『鵜飼』キリ 三吉徹子
地頭:伶以野陽子
能 『羽衣』
シテ(天人)土田英貴 ワキ(漁夫白龍)村瀬慧
笛:槻宅聡 小鼓:森澤勇司 大鼓:大倉慶乃助 太鼓:姥浦理沙
地頭:角当直隆
(休憩)
仕舞 『実盛』キリ 梅若長左衛門
『班女』舞アト 角当行雄
『大江山』 松山隆雄
地頭:梅若紀彰
狂言 『犬山伏』(和泉流 三宅家)
シテ(山伏)三宅右矩 アド(僧)三宅近成 小アド(茶屋)前田晃一
小アド(犬)土屋光成
(休憩)
能 『花月』
シテ(花月)富田雅子 ワキ(旅僧 花月の父・家継)野口能弘 アイ(門前ノ者)金田弘明
笛:藤田次郎 小鼓:大山容子 小鼓:柿原光博 地頭:井上貴美子
付き祝言 『千秋楽』
梅若ファンなので敢えて、初めから言っちゃうと、この日の公演は、う~ん、でした。
6月1日付けの能楽タイムズに、紀彰先生のインタビューが載って、その内容が良かったし、その後初めての梅若定式能だったし、更に、能が『羽衣』『花月』2曲という良く知った曲だったので、ちょっと期待して出向いていたのです。
体調は万全じゃなかったのですが・・
最初の女流仕舞2曲。まあまあでしたが、女流は、ワタクシどもド素人も手が届く感じで、参考になる。
ショートレクチャーで、山中さんが、お仕舞いはデッサンみたいなモノだと仰っていたのが印象的。基礎訓練の基礎、ということ。
能『羽衣』、実は最早9回目なのです。
だから、解りきっているだけに、やや不満というか。ウトウトしてしまって。
源次郎先生から山中さんが聞いたことと言う、超受け売りなんだけど、インドネシア語で“スルガ”って、天国とか楽園って意味なんだって。
”東遊びの駿河舞”って、詞章に絡んで。なんだか、これは世界史的に面白い。
もう一つ、事前に見たYouTubeがあって、紹介しちゃう。
って、URLをコピペしようとしたら、うまく行かない。
「能<羽衣>楽譜付き(その1)」が一つ。
「能<羽衣>楽譜付き(2)縦書き譜と謡の横書き楽譜併記」がもう一つ。
いずれも、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター。
検索してみてください。
『羽衣』の舞台の実写を基にして、笛の唱歌、小鼓・大鼓・太鼓の手付を、画面右側に“八割表”で表記したモノ。(その2)では、観世流の謡の音階の上下など節付けも図解する。
演者が一流なこともあるけど、これが感動的で、特に、序ノ舞、破ノ舞い辺りは感動的。震える。
こんなにも、能の囃子は、キチッと組み上げられるモノなんだ、それを奏者がキチッと演奏するものなんだ。
これを見ちゃったからかな、頭の奥で比較してしまって、楽しめなかった。
能で、梅若で、眠くなるなんて。
男性のベテラン3方の仕舞。地頭紀彰先生で、素晴らしい。
『実盛』キリの長左衛門先生、下に居から立ち上がるとき、お扇子を杖代わりにするのは止めましょう。
『班女』舞アトの角当行雄先生は、初めから下に居せずに舞い始めていましたが、それで良いのでしょう。今、『班女』クセをお稽古しようとしているので、形付けに注目。
『大江山』の松山隆雄先生。ベテランらしく、どっしりした舞で。下に居からの立ち上がりも問題なし。
結論的には、この日の定式能では、この男性ベテラン3方の仕舞が一番良かった。
狂言『犬山伏』、初めてかも知れない。威張る山伏、虐められる大人しそうな僧、取りなす茶屋。
飼っている犬が怖い。人食い犬。賢徳面で、ぬいぐるみで四つん這い。この犬を手なずけた方が「勝」。
面白かった。
能『花月』は4回目だし、良く解るのだけど、シテの女流はともかく、地謡の8名女流はなんとも迫力がでないし、地頭が纏めきらない。
素人と比べれば、確かに上手なのだけど、そんなんで良いのかしら。
狂言方の詞章の中で、「自然居士の弟子の花月」という言葉があって、ああ、そうなんだと。シテ方の謡本では、狂言方のここまでの言葉は載っていないから。
最後に『千秋楽』。これまで何度も梅若の『千秋楽』を聴いているけど、ホントにテンポなど様々なんですね。地頭のリードによると言うことなんでしょう。