6月4日(水) 国立能楽堂

狂言『悪坊』(大蔵流 茂山家)

 シテ(悪坊)茂山逸平 アド(出家)茂山宗彦 アド(宿屋)茂山七五三

(休憩)

復曲能『玉井』(宝生流?)

 (豊玉姫 龍王)宝生和英 (玉依姫 天女)田崎甫 天女(辰巳和麿)

 (彦火々出見尊)野口能弘

 間狂言『貝尽』(大蔵流 山本東次郎家)

 (文蛤の精)山本東次郎 (鮑の精)山本則孝 (蛤の精)山本凜太郎

 (赤貝の精)山本則秀 (法螺貝の精)若松隆 (栄螺の精)山本則重

 笛:栗林祐輔 小鼓:鵜澤洋太郎 大鼓:國川純 太鼓:小寺真佐人

 地頭:朝倉俊樹

 面:豊玉姫「泣増」(流右衛門作) 龍王「冠形悪尉」 玉依姫「小面」(近江 作)

   天女「小面」(是閑 作)

 

あぜくら会の先行販売で、中正面、脇正面が取れず、やむなく正面席にした。

当日行ってみると、中正目後方や脇正面後方には、高校生の団体様がたくさん来ておられて、買い占められていたのだ。

どうして、この日に?とは思うけど、余り人気のない曲だという意味もあるのかな。

 

狂言『悪坊』。『悪太郎』の原型と考えられるという。悪さをするシテが酔っ払っている間に、僧形に変身させられて、反省するお話。

茂山家だし、上手なのだけど、寝た。

 

復曲能『玉井』、初見なのです。

復曲というのは、宝生流が長期にわたって廃絶していたのを、復曲したということ。観世流、金剛流、喜多流は現行曲。

復曲だと、シテとかツレとか、ワキとかは区別しないのかも。

 

物語は、日本書紀の神話、「海幸彦山幸彦」の伝説をそのまま脚色したということらしいが、その神話の伝説も良くわからないもんね。

だから、登場人物がまったく理解できずに、困った。日本書紀の神話は楽しくない。

 

もの凄く大まかに。

天孫降臨した天照大神の後継の尊(彦火々出見尊=山彦)が、一番偉くて、その弟が海彦で、弟から借りた釣り針を海に落としてしまう。それを探すときに、海岸で二人の姉妹の姫(豊玉姫と玉依姫)とたまたま会って、親しくなって、姫の親=龍王に紹介しようと海中の宮殿に招待する。

そこで、豊玉姫と尊が結婚し、龍王は外戚となって、3年の後、尊を陸上に帰し、王となるというらしい。

初番目物。

 

前場は、2人の姉妹と尊の出会いで、見初めてしまう。

間狂言で、その間の事情やらが話され、尊を送り出すために貝の精が舞う。

後場は、天女2人が(観世流では2人の姫)が中ノ舞。龍神が[働](観世流では舞働き、かな)。

 

ちなみに、観世流での配役は、シテ(海神の娘豊玉姫 海神)、前ツレ(海神の娘玉依姫)、後ツレ2名(玉依姫と豊玉姫)、ワキ(彦火々出見尊)となっているようだ。銕仙会のHPによる。

 

後場の、2人の天女の中ノ舞が、相舞で美しくて、(舞)働きの舞も、格調があって、力強い中でも品があって、宜しかったのではないか。

ちょっこっと線が細い感じの宝生宗家の舞は、不安を消すような力強い感じで、良かった。

 

間狂言は、これだけで独自の狂言曲にもなるような、貝尽くし。全員が貝を示す冠を付けて、舞う。

シテ役の「文蛤貝」は、読めない。ハマグリではない。「したら貝」と聞こえたけど。東次郎先生が、しっかりと役割を果たす。

あれだけの冠を用意するのだけでも大変だ。

 

まあまあ、楽しい盛り上がりを見せる能で、体調が悪い中でも、やはりサボったらいけないなあ、と。

寝なかったし。

 

中庭のミヤギノハギが、もう薄紫の花を少し付ける。去年もこの時期から咲き始めたなあ。ハギだから萩でしょ、秋のハズ。