5月16日(金) サントリー美術館

 

酒呑童子というと、平安時代の鬼。

それを、源頼光らが退治する話は、能でも有名で、『大江山』『土蜘蛛』がある。

 

その物語の絵巻物が展示されていた。

サントリー本が修繕を終わっての展示。

プラス、ライプチッヒで最近”発見”されたライプチッヒ本。こちらには、酒呑童子の誕生の話しも描いてある。

 

酒呑童子って言うと、大江山に住む鬼とばかり思っていたが、伊吹山かも知れないと。サントリー本は伊吹山系。

まあ、どっちでも良いのだけど、天皇支配に従わない夷狄、夷族だよね。その討伐譚。

 

全体の章立ては、

第1章:狩野元信筆「酒呑童子絵巻」の大公開

  上巻・中巻・下巻の大公開

第2章:エピソード・ゼロー展開する酒呑童子絵巻

  ライプチッヒ本、下絵。

第3章:婚礼調度としての酒呑童子絵巻

 

それぞれ興味深かった。

最も興味を引いたのが、徳川家の娘が大名家に嫁入りするときに、酒呑童子絵巻を持っていったこと。わざわざ、上絹本に描いて。

どうして?あんな、討伐の、血なまぐさい戦いモノ。

それはね、討伐した源頼光にある。頼光は清和天皇の血筋で、清和源氏のスタートともなった人物。彼が、夷狄を滅ぼして、都で力を付けていき、後の武家政権のいしづえとなる。

 

そういえば、家康も、徳川将軍も、皆、源の何某、と「正式」には名乗っていて、清和源氏の血筋であることを根拠に持ち、誇りに思い、武家の棟梁となるのです。正当性根拠。

その武家の、始まりともなる頼光の酒呑童子退治。

徳川から降嫁するときには、その正当性根拠を持っていくのですね。

 

会場では、能『大江山』ダイジェスト上映もあり、能楽ファンとしては見入ってしまった。『大江山』、拝見したことがないのです。

シテは、観世喜正さん。会場は、多分、国立能楽堂の練習舞台。

 

実は、この日は、朝から体調がすぐれず、寝込みたい状況だったが、後記する大学クラス会が麻布十番で開催され、かなり前から出席の返事をしていて、とてもサボることはできず、その割と近くのサントリー美術館に寄ってからクラス会に行こうとしていました。

サントリー美術館で息を上げてから、クラス会に臨もうという戦略で、これは成功したか。

 

で、大学のクラス会。

何年も前から、春の会、秋の会が開催されていて、メンバーは十人ちょっとに限定されているのだけど、東大でこういうのも珍しいし。

昭和48年入学の、文科1類2類コースの、フランス語未習クラス(=Dで表示される)。19組なので、48LⅠⅡ19Dという。

駒場の教養学部時代に、語学はこのクラスで学び、学生自治会の基礎単位となる。何人かの代議員を選出する。

当初2年間の、居場所みないなモノ。本郷の法学部も経済学部も、大教室授業ばかりでバラバラになるので、この教養学部時代のつながりが大切。

まあ、良く酒を飲み、遊び、戸田の寮などにも行ったし。

その仲間が、毎年幹事役を務めてくれているので、ありがたいのです。

2006年頃から開催されていて、ワタクシは、2010年頃から参加で、半分は出席している。

皆さん、70歳から72歳くらいで、すでに鬼籍に入った方も居るし、省庁・大企業の幹部(だった人)や弁護士も多い。

ワタクシみたいな、人権派弁護士崩れではなくて、時間もお金も余裕のある方。

今回ビックリしたのは、能楽をお稽古している方も居られたこと。

つい、挨拶で「千秋楽」を謡ってしまった。

 

ということで、ウツからは脱出できた。