4月20日(日) 梅若能楽学院会館
ショートレクチャー 川口晃平
能 『熊野』
シテ(熊野)井上貴美子 ツレ(朝顔)井上須美子
ワキ(平宗盛)宝生常三 ワキヅレ(従者)舘田善博
笛:八反田智子 小鼓:森澤勇司 大鼓:柿原弘和
地頭:角当行雄
(休憩)
舞囃子 『融』・酌之舞
シテ:松山隆雄
笛~大鼓:前同 太鼓:林雄一郎
狂言 『鶯』(和泉流 三宅家)
シテ(家来)高澤祐介 アド(持ち主)三宅近成
(休憩)
能 『鵺』
シテ(舟人・化身 鵺の霊)松山隆之 ワキ(旅僧)村瀬堤 アイ(蘆屋の里人)三宅右矩
笛:成田寛人 小鼓:田邊恭資 大鼓:柿原光博 太鼓:林雄一郎
地頭:梅若紀彰
さすがに2日連続で、しかも前日大阪日帰り往復だと、疲れる。
毎回、梅若楼雪師の演目解説が交付されるのだけど、今回のには、「当会の梅若紀彰が日本芸術院賞を頂戴いたしました。」「これを機に紀彰自身がより一層自覚を持って研鑽に励むのはもちろん、梅若会一同しっかり精進を重ね、より良い舞台を目指していけるよう努力いたします。」とあった。
実に喜ばしいと共に、梅若会の一層の充実を努力するという辺り、期待十分ですね。
今回から、開演前に、出演者の中から若手というか中堅クラスが、その日の演目のショートレクチャーを30分ほど行うようになった。川口さんの話も、なかなか力の入ったモノで、学者じゃあなくて、役者の観点からの経験を踏まえてのモノなので、良き企画になると思います。
今後も期待。
そんなこともあってか、本日の能会は、なんだか気合いが入っている風で、雰囲気がいつもと違う。見所も大勢の方が来られていた。
能『熊野』、7回目にもなります。謡も習ったし、仕舞も習ったし、大体詞章も覚えているし。
シテ役とツレ役は、親子かな。女流の舞で。
ピカイチの仕上がりだったかというと、そうでもない気がする。有名曲過ぎるのかも知れない。
解っているだけに、ウツウトしちゃったりして。
もし、紀彩の会で初めてお能をやるとしたら『熊野』かな、なんて思いながら、うとうとしつつ、楽しみました。
ホントは、もっと難しい曲なのでしょうね。能は一級だし。謡も二級。
舞囃子『融』。これは緊張感もあって、眼はぱっちり。
さすがに、梅若会の重鎮。このクラスが力を込めると、素晴らしくなる。紀彰師芸術院賞受賞効果があるか。
狂言『鶯』、初めて拝見するお狂言。和泉流にしか無いらしい。
鶯を鳥かごの中に入れて、声を楽しもうと野に出てきたアド。主人から頼まれて、鶯を捕まえようと野に出てきたシテ。
鳥刺しをする。藤沢周平の小説なんかにあった鳥刺し。鳥を刺す。長い棒に、鳥もちを付けて、野にいる鳥を捕らえようとする。
籠に入った鶯を、ズルをして、刺してしまおうとするが、咎められて、じゃあ、ということで、籠の中のままで刺すことを許すが、腰の小刀やら、主から預かった太刀まで賭け禄にしてしまう。
結局、刺すことに失敗して、みんな取られてしまう。季節ものの曲で、なかなか楽しめましたね。
そして『鵺』。4回目。
源頼政が、皇居に現れる怪しきモノを退治する話。
頼政の立場になったり、鵺の立場になったり、郎等の立場になったり、様々な仕方や語りが面白い。
シテの松山隆之さん。勿論何度も地謡などで拝見していたけど、シテ役拝見は初めてかな。
良いお声で。
後場で、赤頭、飛出(かな?)の面で、綺麗で、激しく怪しい装束の鵺の霊。
技が求められる型が続く。難しそう。
謡も迫力で、地頭の紀彰先生だけではなく、お隣の角当直隆さんも、大きな声で。
囃子も相俟って、とても眠気が襲うことはない。
今回は、事前に『鵺』の謡本は読まずに楽しもうとした。当日買って、チラチラ見ながら拝見したんですが。楽しめました。
解りやすい曲ですし。
今年度の梅若会にご注目あれ。