4月19日(土) 大槻能楽堂
お話『鬼のルーツ』 松岡心平
狂言『清水』(大蔵流)
シテ(太郎冠者)茂山忠三郎 アド(主)善竹忠重
(休憩)
能『野守』・黒頭・天地之声(観世流)
シテ(野守の翁 鬼神)梅若紀彰 ワキ(山伏)福王和幸
アイ(春日の里人)善竹忠亮
笛:斉藤敦 小鼓:成田奏 大鼓:河村眞之介 太鼓:上田慎也
地頭:上野雄三
わざわざ大阪まで、日帰りで参加。入場料金の3倍以上の交通費がかかるが、紀彰師追っかけとしてはやむなし。
最初のお話は、松岡心平氏ので、これはいつもの学者の話と違って、面白く、かつ、勉強になった。
”能に見る鬼の世界”という3回シリーズの1回目なので、松岡心平先生のお話も、3回シリーズなのです。
第1回は「鬼のルーツ」、第2回は「世阿弥が論理づけた力動風と砕動風の鬼」、第3回は「執念の鬼と化す思い」。
上演される能は、それと合わせて、第1回の今回が『野守・黒頭・天地之声』、第2回が『鵜飼・古演出』『通小町・雨夜之伝』、第3回が『雲林院・古演出』。
全部聴くととても為になりそうだが、とてもとても3回も連続して、3ヶ月も大阪に通えない。
鬼と言えば、馬場あき子さんの「鬼の研究」。これを基礎スタートにして、松岡先生が解説、自己の分析、話をして頂ける。
3回纏めれば、十分に本になりそう。
でも、ワタクシは、そんなことのために大阪まで出かけたのではない。あくまで紀彰師追っかけ。
しかし、『雲林院・古演出』は、来月国立能楽堂で、紀彰師シテで上演されるので、繋がっているというか、何というか、楽しみ・・
狂言『清水』も、鬼の出てくる狂言。しかも、水を汲みに行く清水。『野守』の清水にも関連がありそう。という訳で、この曲が選考されたか。
大槻文藏先生の、考え抜かれたシリーズものかしら。
能『野守』・黒頭・天地之声。ワタクシの目当ては、こちら。5回目で、先週も喜多流で拝見している。
小書きにより、作り物の塚が出て来ない。
前シテは、尉なのだけど、常と違って、尉鬘の月代部分が白い。詞章に登場する”白ふの鷹”に対応するか。
紀彰先生が、幕内から「春日野の~」とどっしりと謡い始めると、良きかな。しばらく止まらなかった咳が今日は止まっている。
心配してたけど、良かった良かった。
前場は、動きが少ないが、謡や語りが沢山で、間違えることなく、良いお声で。
ワタクシは、梅若の謡本を持っていったけど、観世の謡本とは余り変わらないような。
中入で、塚がないので、幕内に帰るのは、小書きによる。
でも詞章では、「塚に入る」ということになっている。ああ、そうか。幕の内が塚の内なんだ。
後場で手にする野守の鏡は、やはり、裏に持ち手の付いたモノ。それを握る。喜多流のように掴むのではなかった。
それを上下、左右あちこちに傾けながら、舞働きや、キリの舞。非常に迫力満点の舞で、素晴らしい。
あの足踏みの音。タイミング。
小書き無しでは、「かっぱと踏み破って」で、ドスンと座り込みのだけど、小書きによって、後シテは、橋掛かりを走るように下がっていき、幕の前で向きを変えて、後ろ向きで「奈落の底」に入っていく。
素晴らしい盛り上がりと迫力。
さすが、芸術院賞。良かった~。
相変わらず、関西風の拍手のタイミングは解せない。シテが、あっという間に幕内に下がってしまったので、そこで拍手のタイミングがずれたのは良かったんだけど。
囃子方も、東京の方と違って、あまり馴染みがない。が、笛の成田奏さん、若いし良い音で打ち、掛け声も良いなあと思ったら、成田達志さんのお子さんかしら。
帰りに、新大阪でうどんすきを食べて、凍結酒を飲んで帰宅したのだけど、深夜になってしまったし、疲れた。