2月22日(土) 国立能楽堂
解説 「小敦盛絵巻と能の生田敦盛」 小林健二
狂言『吸取』(大藏流 大藏宗家)
シテ(男)大藏彌太郎 アド(何某)大藏教義 アド(乙)善竹大二郎
笛:藤田次郎
(休憩)
能『生田敦盛』(観世流 観世会)
シテ(平敦盛)山階彌右衛門 子方(敦盛の子)武田應秀 ワキ(僧)福王知登
笛:藤田次郎 小鼓:鳥山直也 大鼓:守家由訓 地頭:浅見重好
面:シテ「十六中将」
国立能楽堂に通っている感じ。
相変わらず寒い。
今月の月間特集は「絵巻物と能」。という訳で、解説になる。
解説は、プログラム巻頭カラーの「梅若権現縁起絵巻」と『隅田川』の関係。これは19日に拝見した。
「小敦盛絵巻」と『生田敦盛』。これが本日。
もう一つ「北野天神縁起絵巻」と『雷電』。これは28日に予定されている。
この解説は、いつもと違って実に面白い。全然眠くならない。
能と和歌は詞章的に重要な関連性。能と茶・禅は心の面で重要な関連性。
能と絵巻・屏風など絵画は、画面的に関連があるという視点。2次元と3次元の違いはあるけど。
実は、同じく今月のプログラムには、「戦国時代の絵画と能ー霊験・武威・鎮魂ー」という特集記事があって、これも実に面白い。高岸輝(東大大学院教授)の論考が載っていて、素晴らしい論文。
こちらは、能『田村』と「清水寺縁起絵巻」、能『盛久』と「清水寺縁起絵巻」、能『大原御幸』と「大原御幸図屏風」の三部に分かれるが、本日の解説と同様の観点で、別の能と絵巻などの関係を取り上げる。
合わせて6曲になる。
令和7年2月のプログラム(第495号)は入手すべし。
2月28日の『雷電』は買っていなかったので、席は既に売り切れであった。残念。
本日の公演は、この解説と記事で十分価値があった。
狂言『吹取』。どういう訳か頭の中で「すいとり」と読んでしまっていて、内容は何だっけだったけど、「ふきとり」ですね。
これならば良く知る。
清水観音の御宣託で。五条の橋で笛を吹けば嫁が授かると。婚活話ですね。宣託を受けたアド何某は笛が吹けないので、代役にシテ男に頼む。するとアド女(乙)が現れるが、アド何某ではなくてシテ男に寄って行ってしまう。笛を吹いたのはシテ男だから。
前に拝見したときは、狂言方が自分で笛を吹いたけど、今回は、笛方が登場。
衣かつぎを取ってみると、例の「乙面」で、あらまあ、取り合ったのに押しつけ合うというセクハラ話。
能『生田敦盛』、初見。
あの平敦盛に、子がいて、父と会いたいと日参したところ、閻魔大王の許しを得て、時間を限って会えることになり(つまり幽霊が出現して)、舞を舞うが、時間が来て消え去るという話。
敦盛が討たれたときは、16歳くらいなので、子がいたはずがない。本日の面は「十六中将」だった。
完全な創作だけど、親子が会って、シテが去るときに、子方が袖を捕まえようとするのを振り払って消え去るという場面は、泣きの場面かな。
別れで終わるのは『景清』『隅田川』か。
その子方が、10歳くらいで、大きな声で謡って、良かった。
シテの舞は、「替之型」の小書きで、カケリのハズだったが、当日ガイドで中ノ舞となった。小書きなしになったということだね。
シテは、観世御宗家の弟かな、中ノ舞は特に素敵でした。修羅物の舞。太刀扱いなど、良かった。
でも、本日は、解説と記事で十分でありました。
図書館に行って、色々絵巻物を見てみようという気になる。
知っている曲なのが理解を進めたのだろう。
高等遊民のお勉強、稽古の産物。