2月19日(水) 国立能楽堂

狂言『千鳥』(大藏流 茂山千五郎家)

 シテ(酒屋)茂山七五三 アド(主)茂山宗彦 小アド(太郎冠者)茂山千五郎

(休憩)

能『隅田川』(喜多流)

 シテ(梅若丸の母)塩津哲生 子方(梅若丸)塩津稀介 ワキ(船頭)宝生常三

 ワキツレ(旅商人)舘田善博

 笛:一噌隆之 小鼓:林吉兵衛 大鼓:國川純 地頭:香川靖嗣

 面:シテ「曲見」

 

約1ヶ月ぶりのお能。途中梅栄会があって、拍子抜けした感はあるけど、久しぶりの能鑑賞。これだけ間隔が空くと、却って新鮮な千駄ヶ谷。

寒い寒い。門の護衛の小父さん、かなりの年長者だけど、立っているだけで寒そう。思わず「寒いですねえ」などと声をかけてしまう。

 

狂言『千鳥』。

アド主の命令で代金を支払わずに酒一樽が欲しいアド太郎冠者。ツケも払っていないのに無理な命令だが、そこは友人でもあるシテ酒屋。あれこれ気を引こうとお話。

その初っぱなが「津島祭」に行ったこと。津島祭は、千鳥を捕まえる子ども遊びの真似をする、そこから曲名の『千鳥』だって。初めてわかった。

茂山七五三さんは、さすがの貫禄。宗彦さんは、もう50歳なのでした。千五郎さんは、相変わらず声は大きいが、痩せて回復せず。

久しぶりなのに、ウトッとしてしまって・・

 

能『隅田川』、4回目かな。といっても有名曲だし、DVDはあるし。

拝見して泣いた、とか、周りの人は泣いていた、号泣していたとか言う話を良く聞くけど、ワタクシは、ウルッとしたこともないし、周りに泣いている人を見たこともない。

今回こそは泣けるかと思って期待したが、ダメでした。

感情量が少ないのかしら。

 

シテの塩津哲生さん、1945年生まれの80歳かな。ちょっと老齢過ぎて、所作は正確なのだけど、ピシッとしない。しゃがむシーンでよろめいて音を立てて手を突いてしまう。仕方ないけど、ふ~む。

声もね。ワキの宝生常三さんの美声と合わない。

子方は、シテの孫。10歳。きちんと「南無阿弥陀仏」を、少しわざとずらしながら唱えていました。

地頭も良かったと思います。

囃子も良かったんだけど、全体としては、泣けなかった。

残念。いつか泣ける『隅田川』に逢いたい。

 

中庭は、ミヤギノハギも篠竹も、刈り込まれて冬の風情。これもまたよし。

 

第3期の「宝生宗家展」を覗いたら、馬場あき子さんがいらして、珍しく、普通の気取らない洋装。元気そうで良かった。5月3日には伺いますよ。

見所での席もSB席ではなくして、普通に買ったと思われる正面席、中央よりは後方。

こういうのが素敵な方だなあ、と思う。