12月4日(水) 国立能楽堂

狂言 『茶子味梅』 (和泉流 野村万蔵家)

 シテ(唐人)小笠原由祠 アド(妻)野村拳之介 小アド(教え手)野村万禄

(休憩)

能 『鳥追』 (宝生流)

 シテ(日暮某の妻)辰巳満次郎 子方(花若)内藤瑞駿 ワキ(日暮某)福王茂十郎

 ワキツレ(左近尉)福王知登 アイ(太刀持)河野佑紀

 笛:藤田貴寬 小鼓:観世新九郎 大鼓:飯嶋六之左 地頭:佐野由於

 面:シテ「曲見」(河内 作)

 

この5日間で3回目の国立能楽堂で、千駄ヶ谷に通っている感じ。通楽(って、また新しい造語)。

 

狂言『茶子味梅』、ちゃさんばい、と読む。唐語らしい。お茶を飲みたい、という意味。

何回か拝見しているんだけど、あまり印象にない。唐から、おそらく拉致されて和国に来て、九州の箱崎(現在の福岡)に住む唐人が、倭人の妻をめとった後、故郷を懐かしむ、それを妻が怒るという話。なんとか仲直りしようと、酒を飲んだり、舞を舞ったり。唐の楽。

あの辺りは、唐と交流があった、というか攻めてきたり、攻め込まれたり。人質を連れてきたり。それによって、文化が伝播したり。そんなストーリー。

囃子方が出演する。ちょっとだけ小鼓お稽古して頂いた岡本はる奈さんが出演。なんだか、懐かしい。

 

能『鳥追』、初見の曲です。宝生流は『鳥追』、他流は『鳥追舟』。

稲作で、実を付けてきた頃に、鳥などを追い払うために、村というか集落共同で、舟を仕立てて、皆で鳥を追い払う。

田植えや、稲刈りも共同で行うが、それと同じ、行事化したモノらしい。

舞台は、鹿児島県薩摩川内市向田町。この辺りは、水が深かったのかな。狂言でも、鳴子を使ったりして追い払う様が表現されるが、本曲は、舟を仕立てて、それに羯鼓や鳴り物を乗せて、騒いで、追い払う。

地主が自ら行うことはなくて、賤しい所業だと。

鹿児島が舞台になっているお能は、これだけらしい。

 

日暮の里の日暮某(ワキ)は、もう10年も訴訟のために留守をしていて、帰ってこないが、その間、家来の左近尉(ワキツレ)が、妻(シテ)や子ども(子方)の面倒を見ていた。しかし、あまりに長期になったこともあり、不満げな左近尉は、乗っ取りを企んだか、シテ妻や子に鳥追いをさせる。

そんなとき、日暮某(ワキ)が帰国してくる、何だか楽しそうな鳥追い。見学してみると、我が妻子ではないか。

ワキ日暮某が怒って、ワキツレ左近尉を成敗しようとするが、シテ妻が、あんたが帰ってこないのが悪いのだと諭して、許される。

そして日暮某は子方(花若)に家を継がせて、繁栄しました、という話。

なんだか、あまり能らしくない。現代物に近いのか。でも、シテは面を掛ける。

 

まず、シテと子方が、なんと言うこと無しに登場して、ワキ座に座る。

しばらくはシテ日暮某の妻とワキツレ左近尉との対話。鳥追い舟に乗らされる。

これは、初めて見るスタイルで、物語の展開を混乱させる。

そのまま無念のシテと子方は退場。

 

中入り後に、次第で、ワキ日暮某が出てきて、ワキ座に。これで通常の位置。

まもなく、一声の後、シテ妻と子方とワキツレ左近尉が再登場して、鳥追い舟の作り物の中。

この辺りが鳥を追う舞の「鳴子の段」らしいけど、良く解らない。

最後は、目出度し、目出度し。

 

ふ~ん、あまり出ない曲だろうな。面白くないからね。情緒がある訳でもない。

だが、昔は、こういう鳥追いの行事は各地であったので、身近なことだったのかな。

それを能に仕立てたのか。

ワキとシテと、どちらが主人公だか、良く解らない。

 

シテの辰巳満次郎さん。顔つきはおっかないようだけど、面を被っているし、女性役でもお上手。

ワキの位に負けない。

 

なんだか、宝生流の何かの会になっていたみたいで、バスを仕立てて来ていた。

 

狂言も能も、今ひとつピンと来ない曲だったので、半分以上寝てしまいました。心地よく寝た。