12月1日(日) 国立能楽堂
解説 「野宮について」 観世喜正
狂言 『見物左衛門』 (和泉流 野村万作の会)
シテ(見物左衛門)野村万作
仕舞 『半蔀』 観世喜之
能 『野宮』(観世流 九皐会)
シテ(六条御息所の霊)佐久間二郎 ワキ(旅僧)福王和幸
アイ(所ノ者)中村修一
笛:松田弘之 小鼓:大山容子 大鼓:佃良太郎 地頭:観世喜正
(休憩)
狂言 『鎌腹』
シテ(太郎)野村萬斎 アド(妻)野村裕基 小アド(仲裁人)深田博治
能 『葵上』・梓之出
シテ(六条御息所の霊)佐久間二郎 ツレ(照日の巫女)石井寛人
ワキ(横川小聖)福王和幸 ワキツレ(大臣)村瀬堤 アイ(下人)高野和憲
笛:一噌幸弘 小鼓:大山容子 大鼓:佃良太郎 太鼓:小寺真佐人
地頭:中森貫太
◎佐久間二郎能の会 なのです。
別に佐久間二郎さんのが観たい訳ではなくて、今、ずっとお稽古している仕舞などが『野宮』であり、『葵上』なので、つまり、ワタクシも源氏物語を追っていて、その関係で2曲かかるので、観に行こうと。
国立能楽堂は連日になってしまうけど、仕方ないのだ。
最初の解説で、観世喜正師が、実は昨日も来ていて、等とお話しされていたが、ワタクシも、なのです。
喜正師の話は、上手。原稿も、持ってはいるが見ないで、話される。自信を持っていらっしゃる。九皐会=矢来観世の当主なので、宜しいと思う。
狂言『見物左衛門』は、珍しい独り狂言で、しかも万作師のだから、拝見せねばと心がけていたのに、登場を拝見し、確りしているなあ、さすが、と思っていたら、うっかり寝落ち。
言い訳。前日の国立能楽堂の後、珍しく2次会まで飲んでしまい、しかも、朝早く起きて前日のことをブログに書いていて、酔いが残り、疲労していたのです。済みません。持ったないことをした。
仕舞『半蔀』も、源氏物語の夕顔シリーズで仕舞をお稽古した曲。道順、型は同じ観世だから解っていました。ので、こちらは眠らず。
前当主の観世喜之師。お年を召したなあ。どうしても動きがぎこちない。老名人の「花」とはなにか。故野村四郎師の最後の仕舞を拝見したときの感動を思い出す。
能『野宮』、能としてちゃんと拝見するのは2回目で、前回は喜多流でした。
今回は、謡いもお稽古し、キリの仕舞もお稽古し、しかも、次回の発表会で無謀にも舞おうという観世流の『野宮』。
2時間の超大作ながら、お目々ぱっちりで拝見しました。
ゆっくりなのですね。あんなにゆっくり謡い、舞っていくんだ、と。
佐久間二郎さん、なで肩で、御息所に相応しい。案外こういう体型というのは雰囲気を出すのに必要なのです。
ま、紀彰先生は、強い役の時は大きく、老人の時は小さく見えるけどね。
佐久間さんの謡、舞は、間違えることもなく、しっかりして良かったと思います。
地頭の喜正師の声の良いこと。しっかりと謡っていました。纏めていました。
小鼓の、大山容子さん、橋掛かりの登場の時の、構え方からして大倉流じゃないかと思って調べたら、その通りでした。あの左手、特徴的。ただ、源次郎先生とは右手が少し違う。
やっとの休憩を挟んで、狂言『鎌腹』、まだ会場がざわめいているけど、仕方ない。
萬斎師の『鎌腹』初めて拝見したかも。面白い。動作が一々面白い。大きな声でケタケタ笑う女性客がいて、まあ良いんだけど、良くそんな大きな笑い方出来るなあ、と。
後見に石田淡朗さんが出ていて、これも良かった。もっと出演してください。
能『葵上』、3回目。解りやすい曲だし、枕ノ段はお稽古したこともあるので、その点じっくり拝見しました。
シテの佐久間二郎さん、ワキの福王和幸さん、2曲とも出演で、大変でしたねえ。ああ、小鼓の大山容子さんも。
2曲目もちっとも衰えていませんでしたよ。お疲れ様でした。
最後、シテが退場して拍手、ワキが退場して拍手という、私は嫌いなパターンだったけど、まあ、そいう風な曲だから良いか。
激しい戦いの後半だったからね。謡いも力強いし。
付き祝言があって、曲名が思い出せない、あのシテ童子が酒を飲むもの。汲めども尽きぬ、って。
ワタクシは、今は、『野宮』のような、叙情たっぷりの、余韻が素敵な曲の方が、合っているかも。
とても途中で拍手しそうもない、余韻たっぷりの、最後まで緊張感がある曲。
『野宮』は名曲。
能の初心者じゃなくなったってことかな。
疲れたけど、良き会でした。今回は、役者じゃ無くて、曲で選んだんだけど、役者も良かった。