11月30日(土) 国立能楽堂

雅楽 十二音会

管弦『平調音取』

  『王昭君』

催馬楽 『伊勢の海』

管弦 『萬歳楽』

(休憩)

能 『住吉詣』(観世流 九皐会・梅若会)

 シテ(明石の上)観世喜正 ツレ(光源氏)梅若紀彰

 ツレ(惟光)鈴木敬吾 ツレ(侍女)永島充・佐久間二郎

 立衆(従者)山崎友正 他4名

 子方(童)観世和歌子 子方(随身)坂賀子・小島史織

 ワキ(住吉の神主)宝生常三 アイ(社人)山本則孝

 笛:竹市学 小鼓:後藤嘉津幸 大鼓:安福光雄 地頭:山崎正道

 面:シテ「孫次郎」(出目満永作) ツレ「小面」

 

11月最後の能楽。珍しく雅楽との組み合わせ。能は、紀彰先生と喜正師。これは行かない訳には行かない。

正面席、前から4列目という良い席で拝見。正面席の右ブロックで、橋掛かりが向こう方向によく見える。

 

千駄ヶ谷駅は、駅前通りの銀杏が綺麗な黄葉。ただ、ビルの影になっているところはくすんでいる。

 

雅楽。十二音会というのは、演奏グループの名称。

雅楽には、①管弦、②謡い物、③舞楽があるのだ。事前にお勉強。今回は、舞楽は無くて、管弦と謡い物の中で催馬楽。謡い物にはもう一つ朗詠があるらしく、これは漢詩を謡いあげるもの。

 

まず、管弦の音取。これはお調べみたいなモノで、平調という調子なんだと解らせるらしい。この調子が沢山あって、難しい。

だから、今回は、管弦の『王昭君』を演奏し、その調子が平調子というわけ。

演奏楽器の順も厳格に決まっている。

正面中央には、大きな立派な太鼓。

この太鼓が、『天鼓』や『富士太鼓』『梅枝』に出てくる太鼓なんだ。

源氏物語などで出てくる管弦は、こういうモノなんですね。実際に聞いてみると、物語が新しい側面で見えてくる。

 

催馬楽は、謡い物の中での、民謡曲。今様とでも言うのかしら。

羯鼓の楽人が、拍子木を打ちつつ、笙などの吹き楽器以外の楽人が唱和する。

極めてゆったりゆっくりした曲で、母音を、揺らしながら長く延ばすので、聴き慣れないと歌詞が解らない。拍子も難しい。

 

管弦の『萬歳楽』は、舞楽となる場合の方が多いらしいが、今回は、管弦で。舞楽の場合は、観て楽しむモノのでその伴奏だけになるから、やや退屈だけど、面白い。

 

雅楽も、なかなか良いモノだ。これだけの演奏会も稀にあるようだ。

舞楽も観てみたい。

 

能『住吉詣』、2回目。今年の1月13日、よこすか能で上演されたもの。当時のブログも読んでください。

シテ明石の上、ツレ光源氏は、同じ配役で、両シテと言っても良い。しかも、名人2人。

子方童も同じ観世和歌さん。14歳。喜正師の長女。

地頭も山崎正道さんで、同じ。

子方の随身2人は、それぞれ地謡前列に並んだ小島英明と坂真太郎の娘。お父さんと近くにいるのが安心するんだろう。

 

ツレ光源氏の紀彰先生が、登場する。直面だ。そのまま舞台中央の輿の作り物に入って、ピタッと動かない。まったく動かない。

両脇にいる子方随身の2人は、フラフラするが、仕方ない。可愛い。

 

ストーリーは、源氏物語の澪標の帖。改変されていて、須磨から帰ってきて出世して、住吉に詣でていた光源氏と須磨から来た明石の君が、能では会うことになっている。そこで、酒を酌み交わし、舞を舞う。

 

シテが登場する前に、ツレ光源氏を歓待する住吉大社の神主。そこで、童の中ノ舞。親に似て背が高い、スッとした観世和歌ちゃん、14歳。子方だけど、きちんと謡って、舞う。考えてみたら、もっと小さい頃からお稽古しているので、我らのような歴5年よりずっと先輩なのだ。

 

橋掛かりに、シテの乗る舟が登場。真ん中のひときわ大きめが喜正師の明石の君。光源氏より大ぶりなのは、どうしてかとも思うけど。

序ノ舞は、初めから相舞。前のよこすか能の時は、出だしはシテ舞いで、途中から相舞になったんじゃ無かったか。相舞を終わってから、シテの舞。

相舞は、シテは面を掛けていて、ツレ光源氏は直面なので、紀彰先生が合わせるような感じに見えた。が、お二人とも名手なので、お上手で、ぴったりとは合わないのは、最早それぞれの型が決まっているから。どちらも美しいけど、我らは、紀彰流でお稽古しているので、腕を上げたりするタイミングは、紀彰師の方がピタッとくる。

シテの一人舞いになると、喜正師は、伸び伸びと舞い、謡う。良い声だ。

地頭山崎正道さんが、よく地謡を纏めていて、良かった。

 

紀彰先生、数日前のお稽古の時は、咳き込んでいて、上手く謡えなかったけど、本番は、きっちりと直してきて、声も出ていたし、不動の姿勢も美しく、舞も、そうだっという感じ。いつもお手本を観ているけど、舞台でも同じです。ちゃ~んと教えて頂いている、その通り。

 

中庭は、ツワブキが更に咲き、見応えがある。紅葉も紅葉してきているが、色がくすんでいる。残念。

 

資料展示室で、特別展「宝生宗家展」が開かれていて、3期にわたって、面や装束などの展示。

凄い数の面があるのだね。凄い面も沢山。見たことのない種類も。

これだけで、一つのブログにしたいほどだが、3期全部で展示の入れ替えがあるようなので、3期を見終わったら、纏めるか。

さすが、宝生宗家。

 

良き会でした。雅楽もあったから、能楽だけじゃ無いけど。

1次会、2次会まで飲んでしまった。連日国立能楽堂なのに。