9月14日(土) 国立能楽堂
解説・能楽案内 「忠節、友愛、そして悲愴」 (作家 林望)
狂言『薩摩守』(大蔵流 宗家)
シテ(出家)大藏彌右衛門 アド(茶屋)大藏彌太郎 アド(船頭)大藏吉次郎
(休憩)
能『兼平』(観世流 梅若研能会・梅若会)
シテ(尉 今井兼平)梅若猶義 ワキ(旅僧)舘田善博 アイ(矢橋の渡守)大藏教義
笛:野口亮 小鼓:住駒匡彦 大鼓:白坂保行 地頭:梅若紀彰
面:前シテ「朝倉尉」 後シテ「三日月」
暑くて、暑くて、能が溶融する。
能閑期を明けて、2回目の能会。この10日間退屈した。
解説は、あの林望先生で、肩書きが作家になっていた。平家物語を本説とする『兼平』の解説。林望先生は、「謹訳源氏物語」だと思っていたら、「謹訳平家物語」も著しているのでした。
それを基にして解説。解りやすかった。眠らず。
狂言『薩摩守』は、薩摩守=平忠度を掛けて、旅僧が秀句好きな船頭の渡し船にタダ乗りしようという話。
シテ出家と、アド船頭の掛け合いが魅力。動作などはぴったりして、さすがご兄弟で息が会うが、シテの彌右衛門さんは1948年生まれ、アド船頭の吉次郎さんは1950年生まれで、お二方ともご高齢で、声が聞き取りずらい。
能『兼平』は、2回目だけど、解りやすい曲なので、退屈しない。
要するに、木曽義仲が、頼朝軍に押されて、粟津にて討ち死にしてしまい、乳兄弟のシテ今井兼平も壮絶な自害をするという、修羅物。
前場の名所教えは、何度か実際に行ったことがある地方なので、風景が浮かぶ。
後場の戦いのシーンは、平家物語なので、これもなじみ深い。
しかもしかも、地頭が梅若紀彰先生で、登場だけでも、舞台が締まる。しっかりと地謡を纏める。
能は、地頭の力量にも負うところが大きい。満足。
紀彰先生地頭を目指して拝見することにしたのだけど、その甲斐あり。
後シテの装束は立派だったし、面の「三日月」も「中将」「平太」かと思ったが少し違って、割と艶々している。男神の役に使われることが多いらしい。
満足した能会でした。
今月はこの後も能会が続く。15日は梅若会定式能で2番『経政』と『芭蕉』。20日は、紀彰先生がおシテの『鵜飼』、笛吹き薪能。26日は国立能楽堂で『竹生島』、懐かしい。29日は、鵜澤久さんの会『砧』。
見すぎかな。
10月も7番予定していて、うち3番が紀彰師がおシテ。『八島』『菊慈童』『天鼓』。