8月30日(金) 梅若能楽学院会館

 

財団法人梅若会が所蔵する、装束や面を虫干しするに際して、29日と30日、午後4時半の回と6時の回、計4回、各回定員20名で予約の上公開する特別企画。

 

確か、コロナの時にも一度そういう企画が持ち上がったが、中止になったはず。

中止といっても、虫干しは必要なので、公開の中止。

 

今回は、気持ちを込めて申し込んだ。

台風10号の接近に伴って、首都圏でも交通が乱れていたが、通常より早めに家を出て、やっと時間ぎりぎりに到着する。

 

会館の脇正面後方の畳み席に面が30~40くらい、舞台の橋掛かりと舞台上に、沢山の装束が吊されている。

実際は、もっと多くの装束や面があるはずで、2日間で展示虫干しを交替させるだけではなく、午前中だけとかも非公開で虫干しがあったよう。

 

山中迓晶さんが、紋付き袴姿で、それぞれ解説してくださる。

メモは見ていなかったので、頭に入っているんでしょう、しかも、熱を込めて来歴や構造など解説されるので、とても1回60分予定では終わらない。

80分はかかったかな。それでも、不足の感があり、質問などしている余裕はなかったのが残念。

 

回りには、梅若会の能楽師が私服で参加しており、山中さんの解説を聞いていた。お手伝いだろうか、囃子方の若い子も来ていたりして。

梅若会の職分の方達は、皆さん、山中さんのような知識と熱情をお持ちなのかしら。

実際にシテとして演ずるとき、面や装束は、勿論最終的には当主の六郎師(実玄祥楼雪)が決定するのだろうが、これを身につけたいなどと希望を述べるのだろうか。

だとすると、どういう面や装束があるか、知っておく必要がある。

 

e国宝というサイトをご存じか。

その中の彫刻部の中に、「能面 伝山姥」というのが、重要文化財として紹介されている。クリックして解説を読むと、旧蔵者は梅若家と記されている。

「能面 三番叟(黒式尉)」も紹介されていて、これも、観世流シテ方である梅若家の旧蔵品だそう。重要文化財。

この2点は、国立博物館に収納(買収?)されてしまったので、能で使用されることはなかろうし、今回のように手元で見られるように公開されることもないだろう。

お能で実際に着用されてこその面との考えもあろうが、何しろ重要文化財。

 

今回虫干しされて公開された面や装束の中には、かような重要文化財クラスの逸品もあるのかも知れない。

来年も、8月に公開虫干しが実施されるならば、今度は2日間とも参加して、拝見してみたいと思う。

文化の伝承と保存。