6月29日(土) 国立能楽堂

能『誓願寺』・来迎拍子・札之仕形 (宝生流)

 シテ(里の女 和泉式部)朝倉俊樹 ワキ(一遍上人)大日方寛

 アイ(門前ノ者)山本則重

 笛:一噌幸弘 小鼓:観世新九郎 大鼓:原岡一之 太鼓:桜井均

 地頭:金井雄資

 面:前シテ「小面」 後シテ「泣増」

(休憩)

狂言『茶壺』 (大藏流 山本東次郎家)

 シテ(すっぱ)山本則孝 アド(使いの者)山本凜太郎 アド(目代)山本則秀

能『藤戸』・蹉た之伝 (観世流 観世会)

 シテ(漁師の母 漁師の霊)武田宗和 ワキ(佐々木盛綱)福王茂十郎 アイ(従者)山本東次郎

 笛:槻宅聡 小鼓:成田達志 大鼓:佃良勝 地頭:岡久広

 面:前シテ「痩女」 後シテ「痩男」

 

能『誓願寺』、初見。

誓願寺という寺は、京の中京区にあるらしい。「能のふるさと散歩京都編」。行ったことはない。

有名な寺のようで、かつては大きな伽藍があり、一遍上人と和泉式部に所縁があるようだ。

前半は、一遍上人が登場して、六十万人決定往生の意味の話で、解りやすいけど、突然和泉式部が出てきて、何だか解らなくなるけど、昔の人には常識だったのでしょう。「誓願寺縁起」というのがあるらしく、そこに和泉式部が登場して、歌舞の菩薩とされているとか。

一遍上人は、時宗の開祖で、鎌倉中期の僧。

そんな常識が無い現代人には、解りにくい曲。

大きな盛り上がりもないし。

ボケッと見ていた。

 

狂言『茶壺』、何回も。

配役が当日発表で変更。山本泰太郎が、都合により欠席で、順次変更。

真の茶壺の所有者を廻る、アド使いの者とシテすっぱの争いで、微妙に違いながらも、追いかけるように舞う、相舞が素晴らしい。

最後は、目代が持ち逃げするのは、お狂言。

 

能『藤戸』は4回目かな。

源氏方の将軍に、馬が渡れる浅瀬を教えたのに、秘密保持のために殺されてしまった漁師とその母の怨み。

かなり強い反発で、ググッとワキ佐々木盛綱に迫る迫力がある。

解りやすい曲で、所作も解りやすい。

なのに何故簡単に漁師は成仏してしまうのか。

成仏しないとお能が終わらないからだろうけど、唐突。

 

シテの武田宗和さん。1948年生まれで75歳かな。声がしゃがれているし、足下が乱れる。それだけ怒っている、弱っていることの表れで、演技なのだろうか。

アイの山本東次郎師に、自宅への帰りを支えて貰うようだが、実年齢は遙かに東次郎先生が上回る。

 

まあ、最後は満足的な能会だった。

 

明日、突然の連吟出演になってしまって、どうしても詞章が完璧に覚えられず、困ってしまう。

同じ箇所で間違える。

それが気にかかって、能会にも集中出来ない。

このブログも、通常翌日に書くのだけど、明日が気になっていて、明日書くことが出来そうもないので、その日に書いている。