仕舞のお稽古は、『夕顔』、『半蔀』クセ、『半蔀』キリと続いて、次は『葵上』枕ノ段となった。希望したのです。
源氏物語の夕顔シリーズを終えて、次は、六条御息所。特に枕ノ段は、生き霊の怨念が露わな箇所で、それまでの夕顔シリーズの、ゆったりした、穏やかな舞とは違って、かなりの早テンポで、感情的な動きをする。
詞章そのモノは難しくない。
とにかく、葵上への怨み、ということでしょう。
光源氏と上手いことやっていやがる。しかし、半面、元皇太子妃という身分と教養が邪魔をしている。それでも生き霊にまでなってしまう御息所の心象風景。
今は、車争いで負けてしまうように、華やかな身分ではなくなっている。
単に、葵上への怨みだけではない。でも、怨みが勝ってしまっている。それが我ながらイヤなんでしょう。その時は気付いていないけど・・
お能では、正先に伏せる葵上を象徴する小袖が置かれるという珍しい演出。ワキ座には、照日の巫女がいる。
それらが見えるように舞わないと・・。
てなことで、密かな自主お稽古をしてきて、結構できるジャンなどと思っていたところに、突然、『高砂』四海波の連吟に参加することになる。
Noh Meets Jazzという、紀彰師がプロデュースする企画で、本来は、開口一番のお目出たい曲として、お素人が披露するはずであったが、その予定参加者のお稽古が間に合わず、急遽、代役的に謡うことになってしまった。
プロの方たちとご一緒に、素人も加わって。
しかも、無本でやるという。色紋付きを着る。
『高砂』は習ったばかりで、まあ謡えない訳ではないのだけど、無本では謡ったことがない。
わずか数行、1分ちょっとの謡だけど、覚えられない。
これまで、シテ方の絶句など何度も観てきて、正直、何だよう、という気持ちもあったけど、ご高齢の方は、絶句しても仕方ないよね。
玄人が地頭として謡うので、合わせれば良いし、最悪口パクでも良い。邪魔しなければいいや、と思いつつ、わずかな出演時間にわざわざ色紋付き袴を持っていくのだから、どうせならきちんと謡ってやろうじゃないの、との思いも湧き出でてきて。
さて、どうなることやら。