5月17日(金) 国立能楽堂
狂言 『鱸包丁』 (和泉流 野村万作の会)
シテ(伯父)野村万作 アド(甥)野村裕基
(休憩)
能 『野守』・白頭 (観世流 鉄仙会)
シテ(野守の精 鬼神)大槻文蔵 ワキ(山伏)福王茂十郎 アイ(所ノ者)石田幸雄
笛:松田弘之 小鼓:飯田清一 大鼓:柿原弘和 太鼓:小寺真佐人
地頭:観世銕之丞
面:前シテ「朝倉尉」(朋満 作) 後シテ「髭べし見」
相変わらず酒が飲めない、飲みたくならない、食欲なしの体調。
2週間弱で体重2キロ減。
そんなわけで、大学のクラス会飲み会が予定されていたのだけど、そちらは2日前にキャンセルして、こっちに。念のためチケット購入しておいて良かった。
狂言『鱸包丁』、何度か。
万作師の一人芝居のような、仕方と語り。至芸と言うべし。
国立能楽堂の発表時点では、アド甥は野村萬斎だったけど、裕基に変更。親と子から爺と孫へ。
このお狂言の真意は良く解らない。嘘つき甥への仕返し攻撃か、指導か。
鱸を3枚に下ろした後、1枚を膾で(酢を付けると行っていた)、もう1枚を焼き物で味わうと旨いという。膾で酒7杯、焼き物で5杯は軽いと。
その後上等の濃茶を出すという。実際には、提供しないのだけどね。
そこまでは、これまで解らなかった。
野村万作師、1931年生まれ、93歳の、ホントに国宝の芸。孫に直接に伝える意図か。
能『野守』、前回は、今年3月の梅若定式能。
色々小書きによる違いはあるモノの、それだけではなく、これまた大槻文藏師の国宝の至芸で、同じ曲なのにこんなに違うのか、と驚く。
後場では、ホントに鬼神が現れるのです。この小書きでは「舞働き」が無く、他にも舞は無いのだけど、重い鏡を持って、しっかりした足取りと、拍。動作。素晴らしい。
鬼神が見える。真っ直ぐに持った鏡が、天を向き、地獄を向く。きっかりと。
こんなにも、シテ方の技量で、まったく違う曲に見えるのです。
前回のママだと、ふ~ん、で終わってしまっていたんだけど。大槻文藏師の本曲を拝見できて、良かった。
大槻文藏師。1942年生まれ、82歳か。
厳密に準備されていて、初めから大小前に置かれた塚の作り物の中で、決められた時間内に、前シテ尉から後シテ鬼神に変身する。よく間に合うね。大着替えだよね。鏡も初めから入っていたんだ。冠もかな。あの狭い空間で、後見一人の手助けで、これをやりきる。
この小書きの本曲は、後見が大切。
まったく、さすがの人間国宝。大槻文藏師と野村万作師。
行って良かった。