5月8日(水) 国立能楽堂

狂言 『隠笠』 (大蔵流 山本東次郎家)

 シテ(太郎冠者)山本則孝 アド(主)山本則秀 アド(売り手・すっぱ)山本則重

(休憩)

能 『夕顔』・山ノ端之出・法味之伝 (観世流 観世会)

 シテ(里女 夕顔の上)岡久広 ワキ(旅僧)野口能弘 アイ(所ノ者)山本泰太郎

 笛:一噌隆之 小鼓:幸正昭 大鼓:原岡一之 地頭:武田志房

 面:シテ「若女」

 

体調不良により、5月6日の落語会に行けなかった。

この日も体調万全ではなく。

 

狂言『隠笠』は、京へ宝物の買い物に行かされた太郎冠者が、すっぱに、鎮西八郎為朝が蓬莱が島から奪ってきた鬼の三宝、「隠れ蓑、打ち出の小槌、隠れ笠」の一つだと言われて、信じて買ってくる。が、騙され、主人に叱られるというお話。

狂言ではよくある。

東次郎家の、則重、則秀兄弟が中心。

 

そういえば、先日、お稽古のために会場に行ったとき、たまたま会場まで紀彰先生と同道したのだが、同じフロアの他の部屋で則重、則秀兄弟が狂言のお稽古をしていて、廊下で遭遇して、ご兄弟は、紀彰先生に偉く恐縮していたが、お着物姿ではなかったので、一瞬解らず、失礼してしまった。

横浜能楽堂改修工事にともなうお稽古会場探しは、皆さん困っているようで、でも、そう多数あるわけではないので、似たような会場になるのです。

 

能『夕顔』、2回目。1回目は2022年5月に喜多流で。その時のブログを読み返してみると、あまり感動したような記述ではない。

その当時は、源氏物語の夕顔の巻についてよく知らなかったのだろう。

 

しかしながら、現時点では、仕舞「夕顔」はお稽古したし、仕舞は続いて「半蔀」にも続いていて、源氏物語夕顔の巻も読んだし、夕顔は、思い入れのある人物になっている。

今のところ、源氏物語で一番印象的な女性かも知れない。

そういう状況になって拝見する能『夕顔』は、実に良きものになった。

 

小書「山ノ端之出」により、藁屋の作り物が大小前に出てきて、その中から前シテが謡い出す。夕顔がいる藁屋のことだね。

能『半蔀』の作り物「半蔀」に当たるのだろうが、夕顔の花は絡んでいない。

これは仲入の狂言語りの後に撤去される。

この両曲は、同じ源氏物語の夕顔の巻だけど、ちょっと重点が違うのでした。

 

前場は、源氏物語の復習のような語りが多い。

後場は、素敵な装束に着替えて舞う、イロエやキリの舞。

キリの舞は、「お僧の今の弔いを受けて」から。仕舞でお稽古して、昨年12月のミニお稽古発表会で舞ったなあ。

でも、仕舞の舞と、お能の舞とは型が違っていて、思わず、後で録画を見てしまった。

この違いは、観世流と梅若の違いか、お能と仕舞の違いか。

ともかく、舞の細部にわたって拝見させていただいた。

 

最後、橋掛かりから静かに幕内に「失せにけり」で、終了。

見所も、静かに終了。良い感じ。こういう終わり方、好き。

体調も回復した感じ。