2月17日(土) 国立能楽堂

解説 「江戸時代に書かれた能・狂言画と英一蝶」 小林健二

狂言 『柿山伏』 (大蔵流 山本東次郎家)

 シテ(山伏)山本凜太郎 アド(畑主)山本則秀

(休憩)

能 『蟻通』 (喜多流)

 シテ(宮守)香川靖嗣 ワキ(紀貫之)大日方寛 ワキヅレ(従僧)殿田謙吉

 笛:藤田次郎 小鼓:観世新九郎 大鼓:白坂信行 太鼓:上田慎也

 地頭:友枝昭世

 面:シテ「小尉」

 

何だか、久しぶりの国立能楽堂かも。先月は1回だけ。1月19日(金)のショーケース『巴』のみだった。

1月2月合併のプログラム480号は、確かに前回買ったのだけど、行方不明で、買い直したことも原因か。

 

解説で取り上げられた画家の英一蝶(はなぶさ いっちょう)。何度か観たことがある画だが、作者のことはあまり知らなかった。

今年の9月から、サントリー美術館で、没後300年の展覧会があるみたい。行こうかな。

 

狂言『柿山伏』は、ホントに何度も。ただ今回は、あの山本凜太郎さんが、初めてかもと言うシテ山伏役。

後見に、山本泰太郎。

それを注視したのだけど、やはり、見飽きているから、寝てしまった。

 

能『蟻通』。記録上2回目になっている。2019年2月に野村四郎シテで。ブログにあるけど、良く解っていない。

だから、ちょと研究してきたのだけど。

そもそも「蟻通」っていう曲名が何か。良く解らない。

蟻通神社というのがある。元は、紀州路の熊野街道沿いにあり、昭和になってから、移転させられて大阪の住吉に移転させられたとか。

詞章にも「ただ今紀の路の旅に赴き候」とあるし。が、「住吉玉津島に参り候」ともある。紀州なんかい、住吉なんかい。どっち?

蟻通伝説というのがあるらしい。唐の国から中に曲がりくねった穴がある玉を得て、それに紐を通せとの難題。すると蟻の腰に糸を結び、穴の終点に蜜を塗り、蟻がそれを狙ってくねった穴を見事通り抜けられた、とか。

それと本曲とはどういう関係か。

まあ、良く解らん。

まあ、兎も角も、蟻通神社、蟻通の神は、往事は結構な神だったらしい。

 

ワキが紀貫之となっているので、古今和歌集など和歌のお能です。編者が紀貫之だし、同人が書いた仮名序も詞章に出てくる。

蟻通神社を知り、古今和歌集の知識がないと、何のこっちゃ解らないお能でしょう。

 

殆ど舞はなく、謡が中心なのだけど、その謡の節付けがこれといって楽しいモノでもない。

しかもシテの香川さん、1944年生まれの80歳。面を被っていて、声がよく聞こえない。

 

ただ、シテの登場のシーン。夜の雨中のことで、シテが傘を持ち、手には松明で登場してくると、深黒の世界でワキの紀貫之の乗った馬が伏してしまった、そこに1つの、ポツンと見える松明の明かり、という状況が良く解る。

想像してみると、ホントに真っ暗なんだろうなあ。そこに松明といっても手持ちだから、そんなに明るくはないが、救いになりそうな火灯り。

そこは、さすがに感動的だったが、後は、何のこっちゃ良く解らないお能でした。難しい。

 

ワキがかなり活躍する。そのワキヅレが、大日方さんよりかなり先輩の殿田さん。ワキの重い習いらしく、お披きなのかしら。

 

まあとにかく、難しいお能。世阿弥作。

2月21日(水)は、我が師匠の梅若紀彰先生がシテの『松風』がかかる。逆にこれが、以前より増して楽しみになった。