1月13日(土) よこすか芸術劇場

見どころ解説 観世喜正

狂言 『六地蔵』 (和泉流 野村万作の会)

 シテ(すっぱ)野村萬斎 アド(田舎者)野村太一郎

 アド(すっぱ仲間)深田博治、金澤桂舟、月崎晴夫

(休憩)

蝋燭能 『住吉詣』 (観世流 九皐会・梅若会)

 シテ(明石の君)観世喜正 ツレ(光源氏)梅若紀彰 ツレ(藤原惟光)大槻裕一

 子方(童随身)観世和歌 (その随身達)地元横須賀市の小学生6名

 ツレ(従者)奥川恒成、石井寛人、金子仁智翔

 ツレ(侍女)中所宜夫、長山桂三

 ワキ(住吉大社の神主)福王和幸 アイ(神主ノ従者)野村裕基

 笛:一噌隆之 小鼓:飯田清一 大鼓:亀井広忠 地頭:山崎正道

 

よこすか芸術劇場は、汐入という駅近くにある。再開発ビル群の一角に、立派な西洋風オペラハウスのようなモノがあって、座席は縦に直に建っている。

音響効果は抜群に良いが、舞台との距離が遠くて、能舞台と比べると圧倒的に見づらい。声は良く聞こえたが、よく見ると、高性能の小さなマイクね。

 

場所が遠いという感覚はなかった。現役時代は、裁判所の横須賀支部にも通ったし、そこの横須賀中央駅の手前だし。小田原支部よりも近いし。

でも、結構遠かったです。横浜から京浜急行で向かうのだけど、こんなに時間がかかったっけ。

地名から、海に近く、三浦半島だから暖かいという先入観が飛んでしまって、風が強くて寒い寒い。

 

観世喜正プロデュースと名打っていて、何回か喜正師の企画で能楽公演が行われていたのだろう。

見どころ解説は、立て板に水。

 

狂言『六地蔵』は何度も。萬斎は、この会に連続出場らしい。

六地蔵の、あのポーズは最終的にはアドリブらしい。というか、準備できないようなスピードだな。

野村太一郎さん、上手になった。さすがの血筋。

 

能『住吉詣』は、初めて。

滅多にかからないお能だとおっしゃっていた。謡曲集にも掲載されていないし、能ドットコムにもない。銕仙会HPにもない。

源氏物語巻3の「澪標」の段。本物語は、光源氏と明石の君はすれ違うだけなのだけど、この能では、出会って、酒を酌み交わし、合い舞うというように変化。

能の解説より、源氏物語そのモノで知られているかも。しかも、時節柄、良い選択。

 

子方童随身の中ノ舞、シテ明石の君の序ノ舞。その途中からツレ光源氏も加わって相舞となる。

さながら平安絵巻の豪華絢爛さ。

シテ明石の君の喜正師と梅若紀彰師の相舞の美しいこと。呼吸もピタリと合っている。このお二人、今や、観世流で最高のコンビではなかろうか。

 

紀彰師は、割と初めから登場している。車の作り物の中、その後は、降りて、ワキ座辺りで。拝殿に詣でる所作はきちりと。

素晴らしい。文句なし。舞台が遠いのが残念。直面だったから、どんなだっただろう。

 

子方童随身の観世和歌ちゃん。幾つなんだろう。小学校高学年かな。そんじょの女流シテ方より上手、謡も舞もあり、子方によく見られる演技を越える。

 

観世喜正師。謡も舞も素晴らしい。が、まだ若さが溢れるか。1970年生まれ。身体も大きいし、例えば、老女モノなどは想像できない。先日の『蝉丸』での逆髪でも感じたこと。

 

この曲があまりかからないのは、出場役者が沢山必要だからだろう。上記配役を見て貰えれば解るけど、これだけ揃えるのは大変。

でもでも、今年11月に、国立能楽堂主催公演にかかるのです。シテ明石の君は観世喜正師とだけ公表されているが、ツレ光源氏は、やはり、同じく梅若紀彰師じゃあないのかしら。

珍しい曲だから、経験のある能楽師達が、お稽古も経て、上演するのが望ましい。

今から、予約を入れたいほど楽しみ。

 

本公演とは無関係だけど、2月21日(水)の国立翁楽堂公演、『松風』はシテが梅若紀彰先生。

ワタクシは、あぜくら会会員なので、一般販売の前日に先行販売で買える地位にある。その1月9日、ネット発売開始直後の10時05分、やっと繋がってチケット買おうとしたら、全席売り切れ、ソールドアウト。知り合いに買ってあげようと思ったのです。

今や、梅若紀彰師のシテ公演はプラチナチケットか。