9月2回目のお稽古で、先生に『夕顔』キリのお手本を舞って頂き、新しく、この曲のお仕舞いにすることとした。

 

『夕顔』は、ワタクシが希望した曲で、源氏物語に登場する夕顔の君が主人公です。

夕顔の君は、光源氏がフト目にとまった邸に住んでいた女性で、当時は身元もはっきり分からなかったようだけど、その様子と教養に取り入られて、通うようになった。

段々と深みにはまっていった源氏だが、あるとき、二人だけでの時間と空間をじっくりと楽しもうと、無住になっている何某の院に夕顔を連れ込んで、朝までお楽しみ。スケベですねえ。

ところが、夕顔は、突然頓死してしまう。

六条御息所に呪われたか。

驚いた光源氏は、部下に頼んで、密かに清水寺近くの鳥辺野辺りに運び、火葬させる。

実は、夕顔の君は、あの「雨夜の品定め」で登場した、頭中将が付き合っていた女性なのでしたよね。高貴でも、下々でもなく、中間的な女性。

既に子をなしていて、それが玉鬘の君。それも後で分かる。

 

この夕顔の君は、なんだか不思議な存在で、魅力的。ワレもワレもという押しつけがましさはない。ひっそりとしていて、光源氏の魔の手にかかってしまって、空しくなってしまう。

 

『夕顔』というお能は拝見したことがない。

が、こういう曲があることを知って、どういう舞かまったく分からなかったけど、紀彰先生に突然お願いして、教えて頂くことにした。

 

在原業平系統の仕舞が一段落して、源氏物語系統にしようと思ったのです。

修羅物は舞えないし。

 

そういう訳でお手本に舞って頂きました。

想像通り、ゆっくり、ゆっくりした謡と舞。

 

『夕顔』キリは、空しくなった後の夕顔の君が、僧の弔いを受けて、変成男子となって、成仏に至るという、うれしくも成仏でき、消えていく、というモノ。

 

なんか良いでしょ。

 

12月の末頃に、御稽古会をやることになって、そこで舞いましょうと。横浜能楽堂の閉館直前に、第2舞台を使う御稽古会。

 

ところがワタクシは、11月に鎌倉市市民文化祭で、鎌倉謡曲連盟が主催する「謡曲と仕舞のつどい」に、賛助出演することになっていて、こちらは、これまでお稽古していた『采女』キリを舞うことになっている。

 

そんなことで、10月1回目のお稽古は、『夕顔』キリにしたものの、2回目は『采女』キリのお稽古をしていただいて、11月の鎌倉市民文化祭に臨む予定。

後、11月と12月の計4回のお稽古で『夕顔』キリを仕上げねばならぬ。

 

忙しいのだけど、今日時点では、頭の中がまだ『夕顔』キリになっていて、『采女』キリに戻っていない。

まだ、一ヶ月ほどあるので、過去のお稽古動画を見返しながら、お稽古に励みましょう。

 

もう70歳に至っているので、仕舞は段々辛くなってきている。