4月22日(土) 横浜みなとみらいホール
指揮者 原田慶太楼
ドボルジャーク <チェロ協奏曲>
ソリスト:ジョバンニ・ソッリマ
ソリストアンコール
シチリアのアルバニア系住民に伝わる伝承曲<美しきモレアよ>
(休憩)
吉松隆 <交響曲6番 鳥と天使たち>
通称ドボコン、ドボルザーク作曲のチェロ協奏曲に惹かれた。ロストロポーヴィチやカザルスなどもCDで出している名曲に、ソッリマがどう臨むか、若い指揮者はどうなっちゃうか。
結論から言っちゃうと、ソッリマってソリストは、チェロを我が分身として扱うことができ、自在に操る。
ロストロポーヴィチやカザルスの重厚感はないものの、その出自からも明らかな、イタリヤシチリア民族的な、かつ地政学的にも明らかなような民族融合的な側面を持つ。演奏も、超絶技巧で。
どうやら日本ツアーの一環としてきていて、独演会の外、日本フィルとの共演もあって、なかなかの、そのチェロファンの中では人気らしい。
全身で奏でる演奏、顔つき、チェロの抱え方。観ていても飽きない。
配布されたチラシには「生ソッリマの楽しみ方」なぞという言葉も踊っていて。
確かに、一度、時間と余裕があれば演奏会に行ってみたい気がする。CDも多くが売れていたが、CDより、”生ソッリマ”。
ドボコンの第1楽章が始まって、のめり込む。上手い。
指揮者原田健太楼は、まだ38歳と若いので、ソリストに引きずられるか、遠慮してしまうかと思っていたが、何の何の、若者の大きなキビキビした振りぶりで、良かった。
また、ベテランのソリスト、ソッリマとも、度々アイコンタクトを取りつつ、両者あいまう演奏でした。
第1楽章が終了した時点でアクシデント。ファゴットの一人が楽器を抱えて脇へ下がってしまう。なかなか戻らない。その空間の時間。
ソッリマが2曲披露。何だか良く解らないが。1曲は、低音で弦が低く伴奏する曲。アンコール用に用意していた曲か。
それでも戻らないファゴット。今度はソッリマが独奏。これも超絶技巧で楽しく、ウキウキしてくる。拍手万雷。後で、ソリストアンコールを聞いてみると、同じだったかな、アンコール曲の一部だったかな、という感じ。
やっと戻ってきて、何事もなかったように第2楽章から。
続く第3楽章。良い盛り上がりだ。最後、オケが治めている間、ソッリマは、ゆっくりゆっくりと弓を下ろしていく動作。こういう所が、上手い、ビジュアル的。
ファゴットは2本あったのだから、1本が故障しても、1本だけで演奏はできないものか、なぞと不遜なことも考えたけど、ダメなんだろうね。でも、そのおかげでソッリマの演奏を、追加で楽しめたよ。
チェロ協奏曲としての感動はお預けになってしまったかも、だけど、まあ、こういう演奏会もあって、宜しいんじゃないかいな。
休憩後の吉松作品。現代音楽の非音楽的な傾向に異を唱え。調性やメロディーを復活させた独自の作曲活動を展開してきた人、と書いてあったから期待した。
あのまさしく非音楽的な、音の音楽には合わない。でも、この曲もそうでもなかったな。ワタクシには合わない。
実に多くの楽器が登場して楽しいのだけど、やはりもっとメロディアスが良いなあ。
フルートの真鍋恵子さん、いつもの通りの付け睫毛で登場してきていて、それで安心だけど、オカリナも演奏するんだ。
今回は、ソッリマ売り。買わされました、という感じ。
2階のトイレが男女とも故障する。どうして。開演前は使えたよ。みなとみらいホールは、改装後、まだ落ち着かぬ。