10月28日(木) 国立能楽堂
狂言 『素襖落』 (和泉流 野村万作の会)
シテ(太郎冠者)野村萬斎 アド(主)野村太一郎 アド(伯父)石田幸雄
(休憩)
素囃子 『獅子』
笛:槻宅聡 小鼓:清水和音 大鼓:原岡一之 太鼓:大川典良
狂言 『唐人相撲』
シテ(皇帝)野村万作 (通辞)野村萬斎 (相撲取り)野村裕基
楽人:中村修一、他 側近:深田博治、他 唐子:三藤なつ葉、他
文官:高野和憲、他 武官:月崎晴夫、他 髭搔:石田幸雄
野村万作卒寿記念。90歳のお歳なのです。最近、野村四郎幻雪、柳家小三治という人間国宝が相次いで他界してしまって、いよいよ野村万作も危ないんじゃないか、いつ亡くなってもおかしくないから、観られる内に観ておこう、という計画。
年内に、野村万作の『靭猿』、『枕物狂い』も、チケットを買ってある。
『素襖落』は何回か。無茶な使節に立てるアド主には、野村太一郎。すっかり万作の会になじんでいる。シテ太郎冠者の萬斎は、十分にこなれた役どころで、安心できる。酔っぱらいの様。もっと土産話が多かったような記憶だけど、ややカットしたかな。
素囃子『獅子』は、『石橋』などで演奏されるらしい。聞き覚えはある。
囃子方はそのまま残って、『唐人相撲』へ。シテ皇帝の万作が、側近たちと共に登場。しっかり観ておかねば。足下はまったく揺らがない。凄いなあ、90歳。
『唐人相撲』は、調べてみると、亡くなった先代の野村万之丞が、復活させた曲らしい。親戚筋の野村萬斎・万作だから本筋に近いのかもしれない。これまでは、大藏流で2回観ていて、和泉流は初めて。
3人シテで、皇帝に万作、通辞に萬斎、相撲取りの日本人に裕基。3代揃い。唐子にはなつ葉ちゃんもいて、勢揃い。
アクロバチックな相撲。裕基君が、格好良く投げ飛ばしていく。
いよいよ、皇帝の出馬になる。この辺りで、大藏流では、唐の歌の合唱があったような。これは面白かったのだけど、今回の和泉流は、シテ皇帝が、一畳台の宮殿の上で、舞を舞う。万作の舞。ブレないよな。
対決シーンでは、シテ皇帝が負けそうになると、側近たちが出てきて、担ぎ上げてしまい、勝負はお預け。揃って、順に退場。
面白い狂言ですよね、『唐人相撲』。最後に担がれた万作皇帝が、橋掛かりから手を振る。お別れかよ。
萬斎は、通辞を楽しんでいたようです。アドリブが許される役らしい。
でも、しっかり準備され、訓練されたコント的な狂言。なかなか、上演できないから。大変だし、見応えある。