7月14日(水) 町田市民ホール
開口一番 柳家緑助 『狸の札』
柳家三三 『三枚起請』
(仲入)
色物 柳貴家雪之丞 太神楽
柳家花緑 『中村仲蔵』
これで三三高座は、3回目で一段落。当然三三がお目当てだけど。
開口一番は、花緑の10番弟子だって。二つ目。花緑は、小さんの孫で、血筋が良いからか、結構影響力があるのだな。『狸の札』、まあ、普通に。
二人会って言うのは、あまり出かけたことがないからどういうシステムだろうかと。ここで三三が出てくるから、仲入前に花緑で、仲入後に花緑から始まって、トリはまた三三だよねって。
三三は、高座に上がってすぐに、花緑が遅刻していまして、ここで終わったらば仲入ですって、宣言。ええ、と思ったけど、花緑はそういう奴なんだと。
で話し始めたのは『三枚起請』。結構時間をかけて、しっかりと。あれまあ、時間つなぎをしているのかしらと思ったが、三三ファンとしては満足。
喜瀨川という吉原の花魁が、三人に起請文を書いたのがバレてしまって、三人が揃って文句を言いに行くのに、開き直ったりする噺で、三三は、相変わらず、スマートで、気色良くて、軽妙で、面白くて、よろしい。
そのまま仲入になったから、花緑は間に合わなかったのか、と。
仲入後、めくりをあげると、色物。あれ、初めからその予定か、寄席みたいだな。太神楽は、なかなかスリリングで、一部失敗したけど、まあ良かったですよ。調べたら、柳貴家雪之丞も、花緑の弟子だと。二人会って言うけど、花緑の会に三三が呼ばれた感じかな。三三の方が客を呼べるはず。
で、トリは花緑の『中村仲蔵』。大した大ネタをやるじゃん。時間も使うし。
何回か聞いているけど、今回はじっくり。初めてストーリーが解る部分もあって。仮名手本忠臣蔵、五段目山崎街道、通称弁当幕に登場する、斧定九郎役が、その他大勢から名代まで出世してきた中村仲蔵。その芝居の役の工夫を凝らした噺。
仮名手本、とは。かなの手本で、伊呂波47文字。それを四十七士の討ち入りにかける。忠臣蔵も、内蔵助にかける。仇討ちそのままの噺ではないから、そういう匂わせというかなんというか、歌舞伎作者は洒落ている。
しっかりと、だがちょっと咬んだりして聞き取りにくいところもあったが、花緑やるじゃんと言う認識。
歌舞伎芝居の描写はまだまだだな。あまり真剣には観ていない感じ。ホントに歌舞伎が好きな噺家が喋ると、ここが凄いことになるのだけど。『中村仲蔵』は好きな噺なんだけど。
工夫を探して悩み苦しむシーンはさらっと飛ばす。最後のオチが、新しくて、女房と弁当を食うという。
こういう噺だから、中村仲蔵の出世ばなしでした、で終わっても良いのだけど、サゲを持ってきた。ここらが、花緑の工夫かしら。あまり成功したとは思えなかった。
時間をオーバーして終わったけど、三三の出番は少なくて、結局花緑の会でした。いや、今回は、~柳家の力をごろうじろ~という副題がついていたな。花緑は、柳家の中心だと思っているのですね。小三治、三三は傍系と言いたいのか。確かに、小さんの孫だけど。血に頼ってはいけない。こういう鼻持ちならない雰囲気は、好きではないな。