11月10日(火) 横浜にぎわい座
開口一番 立川らくまん 『壺算』
『死神』
(仲入)
『芝浜』
新・志らく百席は、今年1月に第25回目として3席やって、それまでも一日3席だったが、3月5月7月と3回休んで、9月に回数不明で3席やって、ここまでで合計78席。11月は、2席になった。で、合計80席。後は20席だが、一日2席とすると、10回かかる。3席に戻すと3回か4回。来年の夏には終わり、と言うか夏までにちゃんと終わらせるという噂も聞いたので、3席2回、2席2回かな。
とにかく、コメンテーターなるモノで志らくは多忙なので、落語は困難かも知れないが、キチンと最後まで百席にして欲しい。
開口一番の、志らく十七番弟子というらくまんの『壺算』。若い割には上手で、眠くはならなかった。
例の壺算に合わせて、勝手な数字を思い浮かべて、それに一を足して、二で割って、何チャラ何チャラすると四になる、合っているだろうという数字のマジックを組み込んでいたが、これは確か志らくが前にやっていたネタ。ま、弟子なので、師匠の真似をするのは良いんでしょうし、そうならざるを得ないのかな。
壺売りと、ごまかす客の人物割りが、まだできない。同じ声の調子じゃダメでしょう。
『死神』何度も。マクラは、談志が忘れ去られたという話しと、ホリエモンとやり合ったという話し。これが結構時間を使って。
いきなり吾妻橋から身投げで死のうとするところから入るのもアリだが、時間があるからか、その前の貧乏暮らしやら、家族との確執、自殺の方法を思案する辺りから、じっくりと。こういうのも良いよね。
死に神を追い出す呪文は、「アジャラカモクレン、ホリエモンがタクシーに乗って、ナンチャラ、ロケットに乗って飛んでいけー」でマクラと合わせる。
オチは、やっと新しい蝋燭に火が点いて、おめでとう、ハッピーバースデーって、ふっと蝋燭を吹き消してしまう、と言うモノ。確かに、志らく独自のオチかも知れない。移せないでバタッと死ぬオチ、くしゃみして消してしまうオチ、色々あるけど、このオチは志らくが二つ目になった頃に考えたモノだったらしい。当時は先輩方に非難されたらしい。伝統的には、というか作者の圓朝はどうしたのか、おそらく移し損ねて座布団上にバタッと倒れるオチだったんじゃ無かろうか。
仲入後は、マクラなくして『芝浜』。年末の恒例。今冬は初回。
導入部はさらっと。腕の良い魚屋だが酒で失敗してもう20日も仕事をしていない、とだけから。後は割と淡々と。取り分けてくすぐりは無く。これだけの人情噺の有名大作だと、いじりにくいという話を聞いたことがある。
印象に残ったのは、3年たって、女房が謝るところを、怒ってぶつシーン。それは激しいのだけど、却って、女房の話を聞いて一転して感謝するのは、やや繋がりが欲しい。唐突なような。
オチは「夢になるから止めておこう」。これは鉄板の定番なんですね。
さすがに、志らくは、なんだかんだ言われても上手だナぁ、と。涙が出るほどの人情噺には仕上がらなかったけど。
客の誰かが、飲み物の缶か何かをカランって落とした音が響いて、そこで、ボクも集中力がぷっつんした気はある。志らくもそうだったのかしら。しんみり人情噺の時は、ホントに静かにしていて欲しい。
高等遊民、落語も、お能も、初級者から中級者になったのかな、と思う。頑固爺になっただけか。おおらかに行ければ良いのだけど。