9月7日(月) 横浜にぎわい座
開口一番 三遊亭歌つを 『初天神』
『青菜』
講談 日向ひまわり 『安兵衛道場破り』
(仲入)
『三枚起請』
今週は、にぎわい座週間。月・水・木・金曜日。合間の火曜日には紀彩の会お稽古だから、毎日桜木町通い。片道1時間45分くらいかかるから、2時間の口演で、それ以上の通勤時間。
朝から、蒸し暑くて、ざっと凄い雨が降ったと思ったらば、晴れ間が覗くという不安定な天気。ずっと雨ならばサボってしまおうかという気も少ししたけど、やはりね、三三は面白いからね。
家にいても鬱々だから、早めに家を出てしまい、早めに夕食を、現役時代に良く行った老舗のとんかつ。板場というか揚げ係が、以前はおしゃべりなどしていて、愉快ではなかったが、この度行くと、ベテランらしき揚げ人が、黙々としっかりと仕事する。カウンター席は、間隔が空いていて、客も少ない。コロナの影響で、経営も厳しいのだろう。でも、接客は以前より上出来で、客としてはうれしい。コロナの功罪。
で、うれしくなって、勿論美味しいからなのだが、赤ワインを沢山飲んでしまって、高いキャベツのお代わりも頼んだりして、すっかり落語会の前にできあがってしまった。
開口一番の前座さんは、ああ『初天神』だって、思っただけで寝た。
続いて軽快に三三の登場。姿が良いねえ。大声を上げるでもなく、淡々と、でも洒脱に語る。良い感じ。『青菜』だとすぐに解る。酔いもあって気持ちよく聞けたが、あれまあ、開演前も行ったのに、トイレに行きたくなる。こんなことは初めてだが、飲み過ぎだね。1階後方の席だったから周りにはご迷惑を掛けずに、そっと退場。
外のロビーで映像を見ていたら、係の方が、ガラス窓の席があって、入れるからどうぞと案内してくれる。1階後方下手側に、そういえば、外からはよく見えないスモークガラスのような空間があって、長椅子が2列ある。ガラス越しではあるが、映像ではなくて、直接見えるから、お忍びには悪くはない。この席は、販売はしていないはず。どうしたらば入れるのだろう。
講談が始まって、席に戻る。女性講談師日向ひまわり。声が涼やかで、通って良い。あまり杓をたたかなくても良いのではないかと思うが、左手はあまり使わない。そういう講談があっても良いんじゃないかな。
演目は『安兵衛道場破り』。ご存じではない方が多いとマクラ。吉良上野介も大石内蔵助も読めないそうだ。その討ち入りの前のお話しなので、若い人には何だか解らないのだそう。でも、わかりやすく解説付きで、口演した。
講談師は女流も多いけど、良いんじゃないかな。こういう組み合わせは大歓迎。なんでも、所属協会が異なるから、あまりご一緒できないと言っていた。
仲入後、予約された『三枚起請』。マクラは、函館が蒸し暑くて困った、嫌だったと、イワシが大量に港に浮いてしまっていたと、烏も大量に死んだと、でも5羽だけだったと。で、昔は烏がいっぱいいて、朝お腹が空くから烏がカカーと鳴くと。という、ユーチューブで見た志ん朝のマクラとほぼ同じ。
良く落語で、「カラスカーで夜が明けて・・」というフレーズがあるが、何でだろうかと思っていた。烏は夕方ねぐらに帰る時に鳴くのではなくて、朝鳴くんだあ。朝は鶏のときの声、というイメージだったのだが。
亭主が仕事せずに金がなくて貧乏な様子を現すのに、「釜の蓋が開かない」というフレーズもあるけど、あれもよく考えたら何だろうか。なんとなく、お金がないから、米も炊けない、米を炊くかまどの蓋が開けられない、というイメージだったけど、合っているのかなあ。広辞苑にも載っていない。
気持ちよく聞いていたらば、花魁に三枚の起請文がバレて、逆に啖呵を切るところ、難しい落ちも含めて、ふと寝込み、聞き逃した。勿体ない。終わった拍手でお目覚め。
そういえば先月の三三でも、いびきをかいて寝ていた小父さんがいたな、ボクはいびきはかいてなかったと思うけど。それだけ、口調が気持ちいいと言うことだよ。大声を出して脅かせば目覚めるもんね。そんなことしないで、気持ちよく聞かせる話芸だと思います。大爆笑を取る口芸ではないけど、面白いし、気持ちいい。
寝込む時は、自分では気付かず、気持ちよく寝る。このまま死んでしまえれば、あのまま気持ちよく死んでいけるのだなあ、と変な感想。死に際には、三三の落語を聞くこうかな。すーっと寝込んで、すーっと死んでいく。