6月10日(水) MOVIX橋本

 

大分解禁されてきて、やっと気づいたシネマ歌舞伎。上映期間終了直前だったので、慌てて映画館へ。

年間スケジュールでは、5月上映分だったが、急遽6月上旬から。

3席が連続して使用不可のテープ。4席置きに座って鑑賞できる体制。観客キャパは、4分の1以下か。

今回は、2本立てのシネマ歌舞伎。

 

「蜘蛛の拍子舞」 2009年10月 (旧)歌舞伎座にて収録

 白拍子妻菊、実は葛木山女郎蜘蛛の精:坂東玉三郎

 源頼光:尾上菊之助

 坂田金時:坂東三津五郎

 

能の「土蜘蛛」の歌舞伎バージョン。「土蜘蛛」は、お能の方で何回か観ているし、謡の練習も済んでいるので、内容は良く理解できて、取り分けて楽しい。

コトバも、お能と同じ詞章もあって、理解が進みます。

ストーリーは、ややお能と違うけど、大筋は同じ。弱っている頼光をのもとに、白拍子の玉三郎がご機嫌伺いに罷り越し、舞を舞う。実は、頼光を狙う。小さな蜘蛛の作り物が、不気味に下がってくる。コトバは蜘蛛をチチュウと読む。ここは、頼光の剣「膝丸」で撃退。

血の跡を追いかけるが、中くらいに大きくなった蜘蛛に対して、手下は歯が立たない。

ここに、頼光もやってきて、大きな蜘蛛となった化粧のものと戦う。このとき、玉三郎は、荒事の隈取りをして登場。玉三郎は、前場では白拍子の美しさ、後場では、怖い隈取りの蜘蛛。

更に、坂田金時も加勢して、退治する。お能では、坂田金時は出てこないけどね。

玉三郎の、激変ぶりが楽しかった。玉三郎の投げたちすじの糸(蜘蛛の糸)は正確に数えられなかったけど、10いくつかだったな。

 

「身替座禅」 2009年12月 (旧)歌舞伎座にて収録

 山蔭右京:中村勘三郎

 太郎冠者:松本幸四郎

 奥方玉ノ井:坂東三津五郎

 

これは、狂言の「花子」の歌舞伎バージョン。勘三郎の演技が光るが、脳裏には前に狂言を見た山本東次郎さんの姿が浮かぶ。

狂言から入っても、歌舞伎から入っても面白い演目だけど、両方知っていると、楽しさ倍増間違いない。

ストーリーも登場人物も、狂言とほぼ同じ。かつての女・花子ハナゴからお誘いの手紙が来るが、嫉妬深くてワワシイ女房が怖くて会えないが、一晩だけ、太郎冠者に座禅衾を被せて、持仏堂に籠もらせ、女人禁制と言うことにして、出かける。が、ワワシイ女房は見破ってしまって、太郎冠者に替わって自分が座禅衾。そうとは知らない右京が、帰ってきて花子とのことを惚気る話を聞かせると、女房にバレてしまって、大騒ぎ、ということ。

 

今回のシネマ歌舞伎は、能と狂言という鑑賞できずにストレスになっていた演目の歌舞伎化したもので、楽しかった。能楽は、舞台をそげ落とすが、歌舞伎は、衣装も何も美しく、かぶく。

2020年度も、できるだけ、シネマ歌舞伎を見たい。期間が短いし、特別興業で高いけど、まあ、本物の歌舞伎を見ることを考えたら安いモンだ。

段々、高等遊民が復活してくる。