2月23日(日) 十四世喜多六平太記念能楽堂
能 『雲林院』
シテ(老人 在原業平の霊)長島茂 ワキ(蘆屋公光)殿田謙吉 アイ(北山辺の者)山本凜太郎
笛:松田弘之 小鼓:森澤勇司 大鼓:安福光雄 太鼓:三島元太郎 地頭:大村定
(休憩)
狂言 『伊文字』 (大蔵流 山本東次郎家)
シテ(女 通りの者)山本東次郎 アド(主)山本則孝 アド(太郎冠者)山本則俊
仕舞 『東北』 佐々木多門
(休憩)
能 『巻絹』
シテ(巫女)出雲康雅 シテツレ(男)狩野祐一 ワキ(臣下)森常好 アイ(太刀持)山本則重
笛:槻宅聡 小鼓:鵜澤洋太郎 大鼓:亀井広忠 太鼓:大川典良 地頭:粟谷能夫
附祝言
喜多能楽堂。去年の3月に初めて行った以来。特にどうという曲ではなかったけど、久しぶりの喜多能楽堂だし、時間が合ったので出かけた。2階席の指定を取ったけど、大いに空いている。一番安い2階席を取って、後は空いているから、1階の正面に行っても良い感じ。チェックはないし。
今度は、行くとしたら、喜多流の人間国宝が出演する時かな。
『雲林院』初めて。能ドットコムにもなくて、銕仙会HPのみ。で、予習不足もあったか、詞章もよく聞き取れず、寝てしまった。
物語は、伊勢物語からで、伊勢物語の好き者ワキ公光が、霊夢を見て雲林院の跡地に行くと、前シテ老人が出てきて、桜談義、次いで、自分が在原業平かも、と消える(そんな訳ないけど)。仮寝すると業平の幽霊が出てきて美しく舞う、というモノ。ストーリーに思い入れがないし、舞も普通で、寝てしまったのでよく覚えていない。
太鼓が人間国宝三島元太郎と期待したけど、その頃寝ていた。
残念でしたが、喜多流その程度かしら。
狂言『伊文字』初めて。人間国宝山本東次郎のシテ。物語は、例の如く妻を得ようと清水の観世音に言われて、西門に。現れたが、その女は和歌を残して消えてしまって、行方知らず。そこで、アド二人が「歌関」を拵えて、後シテを捕まえて返さず(強引な)和歌の続きを考えさせるというお話。前シテは和歌だけ詠んで下がり、後シテが出てきて、色々和歌の続きを考えるというモノで、前と後と人格は違うが同じ狂言方。「い」まで太郎冠者が覚えていたから、伊の付く国であろう、で伊勢国まで解り、次いで「伊」の字が付く里を探して、伊勢寺だろうと。努力して、そこまで見つけられました、というだけのお話。
まあ、面白かったけど、人間国宝らしさは発揮できない曲。どうして曲を選んだか、東次郎。
仕舞『東北』。まあまあね。喜多流の舞は、悪くはない。
能『巻絹』も初めて。一幕モノ。ストーリーは、帝の命によって熊野に千疋の巻絹を奉納せよと。遅刻してきた都の男シテツレが、納入する前に音なしの天神社に参り、早梅の美しさもあって、歌を詠んで神に奉納したために、遅刻して捕縛されてしまう。が奉納された神が、巫女に乗り移って、捕縛を解け、と。巫女は神物狂いの神楽を舞って、解放もされてよかったね、というモノ。
わかりやすいストーリーと、解りやすい詞章、舞も綺麗だから、お稽古曲になっているんだって。知らなかった。
眠くならずに楽しめました。
ワキの森常好が、最近良い出来。特によかったのは、シテツレの狩野祐一。1966年生まれだって。2代目。50台か。良い頃なのかも。声が良い、動きも大きくはっきりと。捕縛を解かれてからは脇座前に座りっぱなしだったが、びくともしなかった。大御所も良いけど、こう言う若い人が活躍するのを観ると、気分が良い。
附祝言、千秋楽でした。口ずさんで。ちょっと、梅若とは違う節で。