12月22日(日) 横浜能楽堂

トーク 「本当は怖い羽衣」 中村雅之(横浜能楽堂芸術監督)

狂言 (和泉流 狂言共同社 野村万作家の協力)

   シテ(在原業平)井上松次郎 アド(餅屋)石田幸雄 小アド(布衣)高野和憲 小アド(傘持)佐藤友彦 他

(休憩)

能 (宝生流)

   シテ(夫人)和久莊太郞 ワキ(漁夫白龍)工藤和哉 ワキツレ(漁夫)則久英志と野口能弘

   笛:松田弘之 小鼓:幸正昭 大鼓:佃良勝 太鼓:小寺佐七 地頭:武田孝史

   面:シテ「泣増」(本面写し 作者後藤祐自)

 

「眠くならずに楽しめる能の名曲」と題する横浜能楽堂の普及公演。年に一度やるらしい。去年は12月16日『土蜘蛛』。毎年同じ客が来ると企画の趣旨に反するらしいが。中村さんが自分で書いた本「能の名曲60選」の中で、自分で決めた「眠くならない指数」三つ星の曲を、毎年一づつづやるつもりらしい。なんでも、20曲くらいあるらしいので、20年。嘘でしょう。いくつになっちゃうか。

 

相変わらず、中村さんのお話は、つまらず、爆睡。何が「本当は羽衣が怖い』のか、さっぱりわからん。企画の趣旨だけ話して、本の宣伝をしたいならそれだけした方が良い。これがもっとも眠い。

 

狂言『業平餅』は2回目。今年7月7日大蔵流で。12月4日に国立定例公演で和泉流野村万作家石田幸雄シテで観るはずだったが、風邪でダウン。よって、和泉流は初めて。

今回の配役は、シテが狂言共同社。同社の出演者は小アド傘持ちの佐藤友彦さんだけ。後は、同じ和泉流の野村万作家の方々の協力を得て。狂言共同社だけでは、この人数は集められないのだろう。

お話は、まあ同じなのだけど、記憶では、大蔵流は、餅状のモノが三方の上に乗って出てきて、むしゃむしゃ食べて左の袖に次々に隠していたが、今回は、何者っておらず、空想で餅があると。

乙面の小アド娘にビックリして、シテ業平も、小アド傘餅も、逃げ出すという、完全セクハラ。ただ、娘もしっかり追いかけて、「腹立ちや、腹立ちや」と追いかける力がある。

シテ井上さんは、この前の名古屋の野村又三郎(これは大蔵流だったかな)より上手でした。

 

能『羽衣』、なんと4回目。最高回数。5回目も決まっているが、きっと、最高は『翁』になりそう。

4回目になると、詞章もほとんど対訳本を見ずにわかる。これは舞を楽しむお能。

地謡に、大坪喜美雄さんが出ていたが、気づかなかった。大坪さんクラスでも、地頭ではなくて地謡に参加するんだね。

天人の舞、序ノ舞、破ノ舞と美しい舞が続く。型は、宝生で、やや違和感があるが、それはそれで型だから仕方ないのだ。その上で、舞が上手かどうか。

シテ和久莊太郞は、1974年生まれで、お爺ちゃんじゃないから、宝生流ながら舞ははっきりしていた印象。謡の声も良い。ちなみに、ワキの工藤和哉さんは、かなりのお歳で、声も出ないし、大変だねえ。まあ、老漁夫の役だから良いか。でも、ワキツレの則久さんが声が大きくて、良い感じ。

各流派の型もあるけど、やはり、上手下手、年齢もあって、役者さんも大変だ。伝統もあるし、お家もあるし、上下関係もキツそうだし。

今回は、4回目で、初めて、舞を楽しめた。段々と。