12月15日(日) 梅若能楽学院会館
能 『花月』
シテ(花月)土田英貴 ワキ(旅僧・花月の父)村瀬慧 アイ(清水寺門前ノ者)山本則秀
笛:栗林祐輔 小鼓:森澤勇司 大鼓:柿原孝則 地頭:梅若長左衛門
面:紹介無いが、喝食
狂言 『鎌腹』 (大蔵流 山本東次郎家)
シテ(太郎・男)山本則俊 アド(妻・女)山本則重 アド(仲介人)山本則秀
能 『葛城』・大和舞
シテ(山女 葛城ノ神)山本博道 ワキ(山伏)御厨誠吾 アイ(葛城山麓ノ者)山本凜太郎
笛:藤田次郎 小鼓:清水和音 大鼓:安福光雄 太鼓:林雄一郎 地頭:梅若実
面:紹介は無いが、前シテは深井 後シテは十寸髪か
仕舞 『井筒』 各当直隆 地頭:梅若紀彰
『柏崎』(道行) 会田昇
(休憩)
能 『碇潜』(いかりかずき、と読む)
シテ(老船頭 平知盛之霊)松山隆之 前ツレ(安芸の太郎)鷹尾雄紀 前ツレ(二郎)山中景晶・逆かも
後ツレ(二位尼ノ霊)小田切亮磨 後ツレ(大納言ノ霊)松山隆雄・逆かも
子方(安徳天皇ノ霊)松山こう美 ワキ(旅僧・羽黒山ノ山伏)大日方寛 アイ(早鞆ノ浦人)若松隆
笛:松田弘之 小鼓:幸正昭 大鼓:大倉慶之助 太鼓:大川典良 地頭:小田切康陽
面の紹介無し、前シテは笑尉? 後シテは三日月? 後シテツレ二人は不明
梅若紀彰先生に習っているし、当然謡本も梅若だから、梅若の本拠地で、どっぷり梅若能を観たいと思っていた。学院会館は、前に、梅栄会の発表会で行ったが、能会は初めて。適当な規模で。外光が取り込まれて良い感じ。
梅若の謡本3冊を購入。これまでは、対訳本とか、解説のネットとかばかりだったけど、梅若で習っているんだから、梅若を観る時は謡本買おうと。揃えようと。一冊2300円。
『花月』初めて。確か、子供の花月に、旅僧が出会うというお話だったと事前勉強だが、なんと、出てきたシテ花月は、ブルブル震えている。あれっと、老人の役だったかなあ。どうやら、緊張のあまりびびって震えたらしい。羯鼓の舞も括弧が上手く打てない。プロでしょ、と。
そういうシテだからか、地謡が纏まらず、ズレっぱなし。梅若長左衛門でもまとめられないか。
梅若謡本を見ながらの鑑賞。習った謡本通りに、さすがに梅若なので謡っている。これを追っていくと、楽しい。勉強になる。
狂言『鎌腹』。3月10日に狂言堂で野村万禄シテで観ている。今度は山本東次郎家の山本則俊。やや違う。自殺しようとする男が、野村萬家ではワキ柱に鎌を結びつけて突入するが、今回は、釜を原に立てておいてそこに突入しようと。あとは大して変わらないかな。ずっとシテの語りが多いお話で、山本則俊さん、ご高齢なのに、大変でした。
能『葛城』。2度目かな。11月2日に鎌倉能舞台だ。あのときはあまり感動しなかったというか、むしろ批判的。
今回は、良かったです。どこが、という具体的指摘はできないけど、物語は知っているし物語に感動はしない。
シテが上手だったのかな。『花月』の裏返しかな。
特筆すべきは、やはり、人間国宝梅若実玄祥の地頭。きちっと纏めて。良い声だし。脚がまだ悪くて、椅子座りだし、地謡の場面だけで、引っ込んだり出たり。前よりは移動がスムーズだけど。舞はできないなあ。でも、存在感は抜群。
作り物の中に入って中入。その物着が、脇の席だったからよく見えて、面白かった。
出てきて、序ノ舞。が、どうやら小書きで神楽になったようだが、良くわからん。綺麗な舞でした。この間は謡本は見ずに、舞に集中。習ったとおりに近い舞。梅若の舞が良い。綺麗だし、きちっと舞う。ダラダラしない。
仕舞2曲。重鎮の舞も素晴らしいが、地頭が紀彰師。地頭がきちんとしていると、仕舞もやりやすいと思う。ピタッと呼吸が合うし。
『碇潜』も初めて。壇ノ浦の戦いを再現する、修羅物なのかしら。
前は、壇ノ浦の合戦で、能登ノ守知盛が義経を討ち洩らすが、源氏方の安芸の太郎二郎を抱え込んで、海に飛び込むというシーン。これは、船頭尉の昔話という形式で。
中入り後、何人かの役者が入った、大屋形船に幕を引いたモノが出てくる。幕を引くと、こちら側からシテ平知盛、ツレ大納言局、子方安徳帝、ツレ二位尼の四人も入っている。子方以外は面を賭けるから役者の顔がわからない。
いよいよ極まって、子方を真ん中に、三人が入水自殺。これを見終わったシテ知盛は、長刀で奮戦するも、最後は、鎧を纏って、さらに重さをつけるために碇を巻いて、海に飛び込む。
ご存じ壇ノ浦の戦いの平家方の様子。こういうの日本人好きなんだよ。見ていても勇壮だし、楽しい。
こういう曲の後には、附き祝言。
2曲目がその能の会の中心で、ホントは1曲目もしっかりしないと行けない。3曲目はむしろ若手中心で。今後に期待だけど、しっかりしています。梅若シテ方の松山隆雄の家族。シテは息子の隆之。子方が孫。3代そろい踏み。子方が可愛い。まだ5歳くらいかな。
梅若にますますはまる。