11月2日(土) 鎌倉能舞台

解説 「雪の二題」 中森貫太

狂言 『名取川』 (大藏流 大藏吉次郎家)

   シテ(旅僧)大藏教義 アド(何某)大藏吉次郎

能 『葛城』 (観世流)

   シテ(里女 葛城ノ神)遠藤喜久 ワキ(山伏)森常好 ワキツレ(山伏)則久英志 アイ(里人)榎本元

   笛:藤田貴寛 小鼓:幸正昭 大鼓:安福光雄 太鼓:小寺真佐人 地頭:駒瀬直也

   面:前 曲見   後 泣増?

 

鎌倉能舞台、10月7日、10月25日に続いて、1ヶ月で3回連続。今日も空いていた。萬斎が出演しないとガラガラなのか、別の理由か。正面前から2列目、左から2番目で、常座の向かいという好席。1列目は一人だけ。

 

でも、今回の公演は、緊張感がなかった。空いていたこともあるのかも知れないが、解説で、中森貫太さんが、狂言の題を『入間川』と間違えて解説しそうになった。かくほど、緊張感がなかった。それが、狂言、能にも現れていた。

 

狂言『名取川』、初めて。大藏吉次郎家というのがあることも調べてわかった。大藏流だけど、山本東次郎家とはまったく違う。しゃべり方も、語尾を上げるかどうか。

きたい坊、ふしょう坊という名前を貰った僧が、名前を忘れるから袖に書いていたのに、川の深みにはまってわからなくなる。その川の名前は「名取川」で、近在は「名取の宿」、現れた男の名前は「名取の何某」というので、名前を奪ったなと争うお話し。

前半、シテ旅僧が一人しゃべるけど、面白くない。アド何某が出てきて、話しぶりがしっかりしていて、メリハリがあったのは吉次郎だからだな。

全般的に、ダラダラと。

 

能『葛城』も初めて。山伏が葛城山で雪に閉じ込められて困っていると、里女が出てきて助けるが、実は葛城ノ神だった、というお話し。役行者に蔦の絡まる庵に閉じ込められていたのを、山伏が能力で助けて上げる。

これも、ダラダラと。ワキツレや、地謡の一人(中森健之介)、笛方も、自分の出番がない時に、ウトウトしている感じ。シテの遠藤喜久は、まあ、しっかりと舞っていたが、全体の統率が取れないのだな。

シテ舞は、習った型が多く出てきて、お勉強にはなった。

 

こういう能の会もあるんだね。全部の能の会が、緊張感漂う、素晴らしい能になるわけではない。

中森貫太も、これが自分の能というモノはないらしく、とにかく全部の能を上演したいらしい。それで、客寄せには萬斎頼みでは、客離れだと思うよ。