10月7日(月) 鎌倉能楽堂

解説 中森貫太 「宗教劇としての能」

狂言 『吹取』(和泉流 野村万作家)

   シテ(何某)野村萬斎 アド(男)深田博治 アド(女)月崎晴夫

能 『田村』(観世流)

   シテ(童子 坂上田村麿)中森健之介 ワキ(旅僧)舘田善博 アイ(清水寺門前ノ者)飯田豪

   大鼓:原岡一之 小鼓:鵜澤洋太郎 笛:杉信太郎 地頭:中森貫太

   面:紹介無しだが、前シテは童子か、後シテは平太か

 

萬斎が出演する能の会は、満席になる。赤字回避、宣伝効果。一時間前に並び始めたが、前に4人しか居なくて妙だと思ったら、案の定、入場してみると、全体の8割が指定席。団体で席を押さえている場所もある。自由席は、脇正面半ば以降と中正面半ば以降。でも、自由席は空席があった。

僕は、指定料金1000円が勿体ないし、電話しないと行けないので、自由席。でも、十分。これからも能を知る会は自由席で行きましょう。

 

『吹取』は、9月20日に国立能楽堂で大蔵流山本東次郎家で見ている。違いがわかって面白い。

ストーリーは、ほぼ同じ。最後の女が結婚を迫るのが、最初の男に戻る、と言う点が違う。また、乙の面が、今回はもっと酷くて、舌を出している。

一番感心したのは、9月の大蔵流山本東次郎家では、笛方が登場して、何某が吹くまねだけしていたが、今回は、なんと萬斎が自分で、しかも上手に吹いていた。能力あるんだねえ。狂言方は、語りだけではなく、謡も仕舞もできなくてはならないが、笛もできるんだ。囃子方の練習も積んだのだろう。さすが萬斎。単なる人寄せパンダではない。

 

『田村』は初めて。清水寺の縁起で、坂上田村麿が建立した経過、東の蛮族を成敗する経過。勝修羅モノ。

シテの中森健之介は、若くて、声のハリが違う。舞も、大きくて、飛び跳ねもピタリと決まった。若さだね。観世流だから、習った型が分かりやすく出てきて、勉強になる。

ホントに、最初の頃と比べると、能の見方が変わってきたというか、深くなる。

終演後の質疑応答があるのだが、質問者は謡や仕舞を習っていない人だろうと。僕でも答えられるが、これはお稽古しているから。

 

なかなか、高等遊民もよろしいでしょ。

落語のご隠居の芸にならないようにしないと。こうしてみると、確かに、自分も一番能を演じてみたい気がしてくる。別にシテをやらなくても良いのだけど、ワキでも、地謡の一人でも良いのだけど。囃子方はできないから。