7月25日(木) 国立能楽堂
解説 大島輝久
狂言 『乳母ヶ酒』(大藏流 山本東次郎家)
シテ(甥)山本則重 アド(伯母)山本則俊
面:鬼の面
(休憩)
能 『小鍛治』(喜多流)
シテ(前:童子、後:稲荷明神)粟谷明生 ワキ(小鍛治道成)大日方寛 ワキツレ(橘道成)野口琢弘 アイ(末社の神)若松隆
面;前シテ(童子)は「童子」 後シテ(稲荷明神)は大飛出(だと思う。写真忘れた。)
オリンピックなどを控えて、とりわけ来日外国人や初めての方にも紹介しようとした企画。7月の同じ3公演、8月に3公演。役者は違うが。
国立能楽堂は安い上に、これはもっと安いので、時間が合う限りと思ったら、この日だけになった。
4カ国語のガイド液晶表示もあって、確かに外国の方が多かったが、皆さん、関心を持ったのか、おとなしく、楽しく観ていた感じ。
解説は、大抵つまらないが、大して面白くはなかったが、4カ国語に翻訳する関係からか、事前に練った文章。歴史から始まって、今回の解説。
『乳母ヶ酒』、初めてだな。酒を造る伯母を訪ねた甥が酒を飲みたいのに絶対に飲ませない。そこで、一計を案じ鬼に扮して「取って食おう!」と礼のポーズで威して、その間に酒蔵に入ってたんと飲んでしまい、寝込んでいるところを伯母に発見されて、許されませ、許すまいぞ、と。
最近狂言は寝ていたが、これは面白かった。役者も真剣だったし。酒を飲み進める様、寝込んでしまう様子、一方で威すために鬼の念を頭の後ろに付けたり、右足膝に付けたり。正統派狂言を、正統に演じた。
甥が、後見座で鬼の面を付ける時、脇正面だからよく見えたけど、まずきちんと面に一礼してから付けていた。こういう礼の所好きだな。東次郎さんがちゃんと教育してきたのだ。
『小鍛治』も初めて。眠くならない指数が高い曲。あれだけの会場で地謡が6名がやや少なく感じた。声の迫力が出ない。囃子方もそう感じたのは、会場の広さと向きか。それとも喜多流の限界か。後シテの稲荷明神は、伏見稲荷なんだね。
今習っている謡「土蜘」にも、剣の威徳、という詞章があるが、これはまさしく、天皇から命じられた剣を、神の力を借りて打つという話。入場、退場とも厳粛だし、舞働きも素敵。楽しい、能らしい能で、ショーケースに相応しいのかも。重い曲じゃないから。
良いと思います。もちろん眠くならなかったし、楽しかった。感動はしない。