6月8日(土) 横浜にぎわい座

 

副題:前座噺から大ネタまで

『寿限無』

ゲスト 瞳ナナ 奇術

『お菊の皿』

(休憩)

『らくだ』

 

前座噺『寿限無』。前座がやることを、前座と同じに(それ以下に)やっちゃあダメでしょう。前座話を、大師匠クラスがやるところに価値があるのだから。例の名前で詰まったらお終いよ。

 

ゲストの瞳ナナって、何者か。40過ぎのお姉さんが、ひたすら若作りをしてミニスカートはいて、魔女衣装で、上手くも面白くも無い奇術をやる。上手1階桟敷席最前列に同年代らしいおねえさんがいて、テンポを取ったり、音楽を口パクしたり、音楽に合わせて身体を動かしていた。こっちを見ている方が、よほど面白かった。寄席の色物としてはダメでしょう。きちんと奇術やろうよ。円楽よ、こんなん呼んじゃダメでしょ。

 

『お菊の皿』、前座話ではなく大ネタでも無いが、バカ受けできる仕上げもできるネタ。午前中に、談志と、喬太郎のをユーチューブで見たが、こっちは、知っている噺なのに、思わず自宅で大笑い。喬太郎の不気味さ造りがとっても面白い。さすが。円楽はどうなるかなと思ってきたが、やっぱりダメでした。ダメというか、まあお噺はそれなりに、きちんとやりました、って感じ。ああそう、そういう噺ね。でも、お菊が舞台を盛り上げる様なんぞ、もっと工夫が必要なんじゃ無いのかな。6代目円楽はできないか。

 

時間を45分余らせて、『らくだ』。これは、笑わせる要素よりも、猪熊虎五郎に威される家主や月番、漬物屋の驚き豹変も見物だけど、もう一つ家主らのおびえが伝わらない。虎五郎がくず屋を威す始末と、酔っ払って、くず屋が開き直っていく様は、よくできました。それから、らくだを坊主にして焼き場に運ぶシーンは全部カット。ここが不気味で面白くてよろしいのに。せっかく、大ネタで、45分も時間を取ったのに。

『らくだ』と言えば、落語にぎわい座初期に、五街道雲助で聴いた。その頃は、とにかく笑わせて欲しかったから、雲助の『らくだ』は重かった。が、今思い返してみると、さすがだったね。あの重厚で正確な語り口で、最後までやりきって、うーんと唸らせる。ああいうのを名人とまで行かないけど、軽くなく、重すぎず、本物の噺家の噺だった。理解できていなかった。

記録に無いけど、志らくも聴いたはず。こちらも、途中までだったが、円楽よりは良かった。かんかんのう踊りが、もっと不気味で、大家の驚きと恐怖が出ていた。

円楽は、ダメだな。中途半端。円楽にはできない噺か。

 

こっちだって、交通費と木戸銭払って聴きに来ているんだから、真剣にやって貰いたい。自分に合った噺をするか、お勉強噺ならば、もっとお勉強してから上げようよ。歌丸の引っ張りでにぎわい座で独演会できているんだろうけど、もう死んで1年。いつまでも庇護下にはいられないよ。先代ご指名の6代目襲名らしいが、円楽の名前が泣かないかい。

高等遊民、最近は、一之輔、喬太郎、などの笑わせ派、か、林家正雀、五街道雲助などじっくり聞かせ派が良いな。6代目はどっちつかず。

来週兼好一人会、一之輔独演会、来月志らく独演会、小三治独演会。来月も円楽買ってあるんだ。