5月21日(火) 横浜能楽堂地下第2舞台

 

5月9日から11日ぶりの2回目。

この間、謡部分はほぼ毎日自宅で録音を聞いて謡本を見ながら、練習。声を大きく出した方が良いのだが、家人から邪険にされる。頭にくる。自分の存在の方が他人迷惑だろうに。80%くらいは暗記していた。

仕舞は、それこそなかなか練習はできない。が、自分の部屋がフローリングなので、ちょっと片付けて、床もぞうきん拭きなどして、摺り足がやりやすくして、ちょこっと練習した。謡とは違って、最後に撮影させて貰った動画を見ながらだけで、先生のコトバの教育を思い出しながら、また、野村四郎の『仕舞入門講座』という本を借りてきて足運びなど文章上の確認をして、鏡を屈指しながら練習。でも、これはチェックされないから成果は上がらない。せいぜいが、サシコミ、ヒラキ、サシの型(というか腕の動かし方、脚の動かし方を)確認する程度。上手にできるか、手の位置や、姿形のかっこよさは、練習できない。梅若紀彰先生は、立っているだけで、格好いいのに。

 

今回は、謡の前回の復習から。皆さんも相当練習してきたのか、前回の最後に比べて格段にうまくいっている気がする。そうすると梅若紀彰先生、どんどん欲が出てくるのか、ここは基本形を教えたが、こういう風に謡った方が良いですね、と変化型まで出してくる。確かに、その方が能の情景や登場人物に合う。

謡の新しい箇所に入ると、今度は、難しい節回しが出てきて、前回はそれでもゆっくり教えてもらえた気がするので、自分なりに節を鉛筆で書き込んでおいたが、今回は書き込む余裕がない。男子が先に謡うので、女子はその注意や指摘などを謡本に書き込む余裕がありそう。自分でも読めない書き込みしかできない。これは、録音を聞き込んで、書き込み直したり、とにかく耳にたたき込むしかないなあ、と。

謡本は、原本は例えば世阿弥作だとしても、各流派で詞章の違いもあるし、節回しや、謡本の符号(ごま点や、まわしの記号、などなど)は、各流派別らしい。梅若家は、観世流とは言え、観世本とは違う梅若本。そのほか、宝生流の本もあるのだ。出版社も違う。

これからも梅若家で行くのだろうが、とにかく紀彰先生の声は素晴らしいし、上手だし、たまたま梅若かも知れないが、運が良かったという感想。

 

仕舞は、前回のカマエ、ハコビ、サシコミ、ヒラキ、サシの復習から。皆さんもそれなりに上手くなっているが、謡ほどではない。なかなか練習できないのだろう。自分自身も、ヒラキや、サシコミで腕が下がるし、ヒラキは腕が開きすぎるという指摘を受ける(身体の前で!)。こういうのは自宅練習できない。誰かが見ていてもらえないと。

今回は、以上の復習に加えて、サユウ(ネジリ)、ウチコミ、オオギヒラク。「ネジリながらなんとか」って、言っていたなあ。

サユウなんて腕と足がバラバラだし、ふらつく。右向いたときの手と左向くときの手が、右あげて左下げて、左あげて右下げてのゲーム状態。摺り足で身体をそのまま45度角度に捻るなんて、できないよ。きっと向きすぎで、オーバーになっている。ほんのちょっと向きを変える雰囲気で良いのだろう。正面からワキ柱、目付柱の方に変えるだけで良いのかも知れない。が、洋式訓練を受けた身の上、右向け右だと90度右向く体質。

幕末以前の日本武士と、西洋式訓練とは、身体の動かし方がまったく違う。右手右足が同時、左手左足が同時だし、走るときだって手を振るのではなく、腰に当てて走ったもんだ。だから、右をサスときに、右足が動いていておかしくないのだ。サユウで左向きの時に、左手があがって(サシて)、左足から2歩進むのも当たり前なんだ、と練習時点ではわからない。原則として左足から摺り足で進むのは、左腰に刀を差している状態から、いざとなったら抜いて戦う姿勢から、当然なのですが、現代となっては、頭で「左足から」とたたき込まないと。でも、理屈で納得しないと動かない、インテリゲンツィアの悪い側面か。

オオギヒラクも紀彰先生みたいにすっと開けない。これは、扇を欲しくなる。買っちゃおうか。梅若だから能楽書林で買うのかしら。紀彰先生に聞こうと思う。

ヒラキ、サシは下がるのだけど、ウチコミは前に2歩。そのたびに、身体を動かす前に、頭の中でどうやるんだっけ状態。ロボットみたい。それを紀彰先生は、幾つかの型を連続して指示する。まず、頭がパニック。流れるような舞には到底及ばない。

結局、身体で覚えるしかない。謡は耳で、仕舞は身体で。

サシコミーヒラキーサユウーウチコミーオオギヒラクを連続して、ノリが良く。

 

3回目は、9日後。それまでどう練習するか。

1回目と2回目の間には、国立能楽堂で『加茂』を観た。3回目までには川崎大師薪能で『賀茂』を観る予定。宝生流と観世流の違いもさることながら、謡い方、舞の動きにも目が行くことだろう。

 

今から、この10回のお稽古が終わったら、その後どうして続けようか、と悩む高等遊民。まずは、今の稽古に集中でしょう。