5月19日(日) 町田市民ホール
指揮者 角岳史
ブラームス 『悲劇的序曲』
ドボルザーク 『チェコ組曲』
(休憩)
ブラームス 『交響曲第4番』
アンコール パッヘルベル『カノン』
ずっと日フィルだけ聴いているし、たまには他のオーケストラも聴いてみたいし、会場が近いし、お安い(1500円!)ので、かわせみオンラインでチケットを購入して、それなりに期待して出かけた。
プロフィールをよく読んでいかなかったのが、悲劇の始まり。町田周辺の演奏家を中心にした楽団と思っていたが、例えば、神奈川フィルのような。でも単なるアマチュアオーケストラなのでした。従って、定期演奏会と言っても、要するに発表会なのね。確かに、1500円で700人くらい入場しても100万円くらいの売り上げだから、宣伝費、会場代、指揮者謝礼(これが高いのは知っている)の合計だけでも足が出て、給料は出ないから、楽団メンバーの自己負担も大きいだろう。そういう意味ではプロではない。楽団員の中には、お教室で教えている方も居るかも知れないけど、基本的に、趣味の世界の発表会だった。配られたパンフを見てみても、団員募集として、週に一度日曜日の3時間の練習なのだ。後は、個人的にレッスンしているかどうか。ヴァイオリン程度ならば自宅練習も可能だろうけど、金管楽器は無理だよね。
というわけで、吹奏パートはダメ、とりわけ金管は音が出ていないし、吹きはじめが乱れる。
ティンパニは、元プロなのかしら、上手だった。額の上がったおじさん。切れの良い打法で、指揮者にテンポもきっちりと合わせていた。
アマチュアオーケストラといっても、学生時代に聞いた東大オケはもっと上手だったような記憶。学生さんは練習時間も場所も取れるのか。
それでも、前半2曲は、まあそんなモノか、と聴いていた。
大好きなブラームス4番、期待して出かけたのだが、前半から、もしかしたら?とやや不安の気持ちが持ち上がる。
なんと!不安が的中。
きっと団員もこれに向けてしっかり練習して、超有名曲だから団員の頭の中でも演奏が組み込まれているはずだから、却って緊張してしまったか。第1楽章の滑り出しから、なんだこの不協和・不調和な和音は!きっときっと、団員達も、自分たちの演奏のひどさに、びっくりし、パニックに陥り、他のパートは聴けない、ましてや全体の調和など聴けもできない、指揮者も観られないというパニック状態に陥ったのだろう。それでまた却って演奏が分断されるという悲劇。
第1楽章の途中から、指揮者は演奏を止めて、深呼吸させてからはじめから遣り直すべきだったのではないか。聴いているこちらが、あまりのことに心臓バクバク、イライラ、席を立とうともしたよ。止めろ、と叫んだ方が良かったか。不調和な音楽は、気分を不安にさせる。眠くなるのは良い演奏。眠くなるどころか、不快感で眠れない。絶望的な演奏。
さすがに指揮者は演奏を止められなかった。何だか、指揮者の一番やってはいけないことは演奏を止めることだと聞いた。でも、第2楽章との間のインターバルを、十二分に取って、団員を落ち着かせているように見えた。
第2楽章ではやや持ち直したか。でも有名な第3楽章ではまたまた不調和。あんなに良い曲なのに。どうしてくれるの。
そのまま第4楽章まで。
失敗でしたね。指揮者も退場時には呆れ顔でした。でもあんたの責任もあるんだから。各個人や、パートでは練習したのだろうけど、全体練習はほとんどできていないのではないか。楽団全体としては、目も当てられない。いや、聞くに堪えない。
アンコールは、まあまあ。弦だけでの演奏だから。
いやしくも、お金を取っていて、知り合いだけの観客体制ではないのだから、もっとお勉強、訓練してください。
口直しというか、耳直しに、今、アバド指揮のベルリンフィルの演奏を聴いている。まったく別に聞こえる。ブラームス4番は良い曲だよ。心安まる曲です。
悲劇的な演奏会。アマチュア演奏発表会だから仕方ないか。