5月12日(日) 横浜能楽堂

狂言組 (和泉流 野村万作の会)

お話し 石田幸雄

『茶壺』 シテ(すっぱ)内藤連 アド(中国の者)飯田豪 小アド(目代)石田淡郎

休憩

『泣尼』 シテ(僧)石田幸雄 アド(施主)竹山裕樹 小アド(尼)月崎晴夫

 

お話しは、野村萬斎よりよろしい。ちゃんと、正中に斜め前を向いて座って。

 

『茶壺』。いきなり、名乗らず、酔っ払いの中国地方の者が登場して、買った茶壺を背負っているが、寝てしまう。そこに登場するすっぱが茶壺を取ってしまおうとするが、(何故か最初から登場している)目代が仲裁に入るも、決着が付かない、ではと、目代が取って行ってしまう。やはり、目代の石田淡郎が上手だと思う。これからの狂言会を背負うかな。姿形も良いし、声も良い、演技も上手。石田幸雄の息子。日本にいるんだね。

体調のせいか、ふと気づくと寝てしまっていて、損した。

 

『泣尼』。それなりの高僧が、説教が下手で泣尼を雇うお話し。母のための御堂を建立して開眼で説法を頼まれて、最初は忙しいと言いながら、お布施の額を聞くと俄然やる気がしてくる。昔も今も、お布施なんだね。泣尼も、超おばあさんなのだが、布施の分け前につられて出てくる。その泣尼役が上手で。ずっと、背を折り曲げて歩き、2~3歩で顔を上げ、後見座に座るときも、向こうを向いておばあさん座り。気を遣っているね。最後は、泣尼と僧の争いになって、僧の袈裟の取り合いになるのだが、その仕草も面白くて、後見が石田淡郎で、笑っているんだ。これは狂言的にはまずいことだろうけど、つい笑ってしまう(といってもにこりとする程度だが)。まあ、良いんじゃないか、という感想。面白かったし。大笑いするおじさんはいなかったし。