4月12日(金) アルテリオシネマ川崎
19時55分からの上映。22時頃終演。
原題は『苦悩』のはず。La douleur マルグリット・デュラスの自伝的小説の映画化。原作題かも知れない。パリのレジスタンスがドイツのゲシュタポに捕らえられて、収容所送りとなり、それを待つ妻の心理描写。逮捕したゲシュタポの手先(フランス人)が言い寄るなど、誘惑に負けそうになるが、密告せずに、レジスタンス仲間と協力しながら、パリ解放を迎え、それでも帰ってこず、終戦。それでも帰ってこないが、最後にバッハウの収容所で重病で死にそうになっている夫を発見し、パリに連れ帰る。数日で死ぬはずが、奇跡的に生き延び、そして、離婚する。
離婚したい理由が、信頼するレジスタンス仲間で夫の親友の子供を産みたい、もう何年も考えていた、ということ。
こういうとこ、愛とかなんかじゃなくて、実存主義的なのか。フランス映画は、暗く、哲学的。
レジスタンスだけど、名前とか顔つきでユダヤ人だと欧州人はわかるのだろう。僕は、最終盤までわからなかった。収容所というのはユダヤ人収容所だったのだ。ユダヤ人殺戮とレジスタンス運動の間で揺れ動く、心理。ドイツに協力するフランス人も多くいて、優雅なレストランで食事などしている。死の恐怖と、生活の中で、ドイツに協力する人たち。
あれは、現実のパリ解放前の姿なのだろう。日本とはずいぶん違う。
先日、円楽独演会の枕で、最近の若者は「間男」という言葉も知らないと言っていた。この映画で出てくる単語は、日本ではもう死語になってしまったのだろうな。レジスタンス、ゲシュタポ、ドゴール、ガス室。
肉体的にも、精神的にも、心理的にも、疲れた。こういう疲れる映画はどうなのよ。井上ひさしの方が良いと思うけど、高等遊民は。