4月3日(水) 国立能楽堂

狂言『仏師』(大蔵流)

   シテ(すっぱ)山本則重 アド(田舎者)山本則俊

能『一角仙人』(観世流)

   シテ(一角仙人)観世芳伸 ツレ(旋陀夫人)上田公威 ワキ(官人)大日方寛 アイ(仙人)山本則孝

   面 シテ:一角仙人(作者紹介無し) ツレ:小面(作者紹介無し)

 

国立能楽堂は初めて。連日新規能楽堂。さすが国立だけあって、前庭入口に立派な門、内部もゆったり、コインロッカーが10円(戻らないけど)、トイレは2箇所で数は足りる、演目紹介は配布されないが今月の各演目の紹介や解説のパンフが有料販売されていて、その解説はなかなかよろしく、記事もある、詞章も書いてある。レストランもあって、今回のように1時開演の場合、12時からレストランで昼食が取れるので便利。カレーライス700円。

内部は、割と広めの椅子で座り心地は悪くないし、なんと言っても前席の背中にある液晶表示の字幕解説。これがなかなか準備されたモノで、詞章も割と正確に表示される。見たくない人は消しておけば良いし、つけておいても邪魔にはならなかった。

そして、なんと言っても国立はお安いのだ。高等遊民で、とにかく数を見ようと思っている僕としては、中正面を買うと、にぎわい座より安い。観世能楽堂、宝生能楽堂、喜多能楽堂に行ったが、それぞれ歴史や伝統があるものの、やはり値段が違う。特に観世は高い。宝生、喜多は施設がやや老朽化。国立能楽堂を作るとき、在京の能楽師達が反対したのも頷ける。が、やはり能楽普及のためには良かったのではないか。毎月2回定例公演を開催している。第1水曜日が1時から、第3金曜日が6時半から。ちょっと通うかなと思う。

 

『仏師』。例のすっぱと田舎者のだまし合いだが、『六地蔵』と混同していた。観世会2月定期能で見たのは、『六地蔵』ですっぱグループは3人、『仏師』は騙すのは一人。まったく似たお話しだけど、騙す方の仕草が、あれは決まっているのだろうか、即興なのだろうか。ベテランすっぱ役の山本則重が、相変わらず面白く演じていた。贔屓目があるのか、国立能楽堂の公演と言うことで、やや緊張感が感じられたのも良かった。前日の、見慣れた狂言2曲と比較してはいけない。こっちも見慣れた曲だけど。

 

『一角仙人』。初めての曲だし、反訳本も能ドットコムもないから、やや不安だったが、解説パンフと字幕解説のおかげで十分に理解できたし、楽しめた。

お話しは、仙人が龍神を岩戸に閉じ込めたが、酒と色仕掛けで、岩戸を破らせ、龍神と戦って仙人が負ける話し。歌舞伎18番の『鳴神』になったらしいが、歌舞伎も見ていない。仙人とは言え、酒と女には弱いのだ。

囃子方、地謡などが登場した後、舞台脇座付近に仙人の住む庵、舞台中央後方に龍神が閉じ込められる岩戸の作り物が登場。軽々と運んでいたようだけど、中にはシテと子方2二人が入っていたのだ。続いて、シテツレの旋陀夫人が、天蓋を伴って、しずしずと登場。美しい着物とかぶり物、面。手には、中国風の扇。直面のワキ官人を連れて登場。シテの一角仙人に酒を勧め、舞う。まあ誘惑。それに庵からやっと出てきたシテ仙人が、ついふらふらと、酒を飲み、舞を舞う。その舞が〔楽〕というらしいが、美しいだけではなくて、シテ仙人がツレ夫人の足拍とややずらせたり、タッチしようとしたり、まあ人間的というか、スケベというか、良いねえ、こう言うの。能では珍しい。

ツレ2人が退場すると、アイが語り(アイも面、珍しい)、その後、岩戸が鳴動して2つに割れて、中から、やっと子方2人の龍神が出てくる。昨日の小猿より年上だが、子供で、しっかりと舞っていた。頭に龍の冠り物があるが、大きくて、外れそう。後見が直していた。

仙人が負けて、龍神が追っかけて退場して、終了。拍手は、まあ終わってからで良かったか。

 

高等遊民としては、お値段にしては楽しめて、感激だったので、ついチケットセンターに行って引き続き通おうと。そこの職員も、ちゃんとしていました。毎月9日10時から、翌月分全部のネット予約が開始される。定例になりそう。