4月2日(火) 宝生能楽堂

解説 野村萬斎

『柿山伏』 シテ(山伏)野村裕基 アド(畑主)深田博治

『附子』 シテ(太郎冠者)野村萬斎 アド(主)石田幸雄 ツレ(次郎冠者)野村太一郎

(休憩)

『靭猿』 シテ(大名)野村萬斎 シテツレ(猿引)野村万作 アド(太郎冠者)高野和憲 アドツレ(小猿)三藤なつ葉

 

宝生能楽堂は初めて。水道橋から近く。宝生ハイツというマンションの一部、というか、能楽堂の上をマンションにしたというか。まあ開発したのでしよう。1階席だけだが、割と広い。座席は、安いので中正面にしたが、やはり目付柱が邪魔になるけど、まあそうでもないし、特に確保した席の後ろに席がなく、後ろが気にならない。前が見えないとつい頭を動かすが、そうすると後ろに迷惑ではないかとか考えるが、それがなかった。

 

萬斎の解説は、いつも立って、ややふらつきながら行う。他の解説は、大体舞台中央に、やや斜めに中正面側を向いて座って行うが、萬斎流。伝統芸という感じを薄れさせるためか、性格か。15分で3曲解説するのは無理。

 

『柿山伏』『附子』。いずれも何回も見ていて、『柿山伏』も前回は、確か川崎で先月だけど、畑主が山伏を背負う場面があって、ふらついた。山東次郎家。今回野村万作家は、この背負う場面がなかった。『附子』は何回目だろうかという感じ。これはあまり変わらない。正直に言うと、いずれの曲も気がつくと眠っている。役者は一流で一生懸命で申し訳ないが、ここまでポピュラーな曲になると、解ってしまって・・・。『柿山伏』のシテは萬斎の息子。頑張っていました。

 

『靭猿』。今回は、これが目的。良い!素晴らしい!小猿が可愛いの。橋掛かりから万作爺さんと一緒に這って出てきただけで、可愛くてウルウル。物語は、身勝手な大名が小猿を殺そうと思ったり、助けようとしたり、遊んだりという身勝手なモノだが、小猿は舞台上で動き回る。その仕草も可愛い。でんぐり返しが下手なのも可愛い。猿引の万作爺さんを見上げる様、おじさんの萬斎を見上げる様、可愛い。万作爺さんも可愛くて仕方がない様子が見えるが、時折、ちゃんとやれと厳しい表情を見せるのも感動モノ。なつ葉ちゃんは、ちょうど僕の孫と同い年くらいで、重なってしまって、万作爺さんの心も重なってしまって、狂言なのに泣くのはどうしたものじゃ。演技と孫・親・子関係が濃密に解ってしまって、感情移入してしまう。

この曲は、ちょうど小猿を演ずる子供がいないとできない。今度は裕基君の子供ができないとできないのじゃないかな。外の家ではどうなのだろうか。一見所か、再見の価値は十分にある。

素晴らしい。